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【知らないと損するタイ進出情報】本格始動した東部経済回廊(EEC)開発

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バンコク東方、チョンブリ、ラヨーン、チャチューンサオの3県にまたがる東部経済回廊(EEC)の開発が急ピッチで進められている。
タイ政府は来年度(2017年10月~18年9月)の投資予算を今年度比67%増の約120億バーツ(約380億円)とする方針を決め、編成に乗り出した。
大幅な減税優遇対象となる「優先産業」も指定して外資誘致を加速させる。
首都バンコクと並ぶ国際都市の建設を目指す。

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東部3県には日系企業も入居する工業団地が多数展開されている。
さらにタイ唯一の深海港レムチャバン港や首都圏第3空港と位置付けるウタパオ空港も域内に存在する。
世界的な観光都市パタヤもあり、日本人も多く居住する。
これらを有機的に結合させ、タイ経済の牽引役とするのが政府の狙いだ。

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次世代自動車、スマート・エレクトロニクス、医療・バイオ、ロボット工学、航空産業など合計10の産業を「優先企業」と奨励して誘致を図る。
域内に本社を設置したり投資した企業については法人税を最長13年間免除することを決めているほか、企業の幹部や研究者の個人所得税についても優遇策を講じる方針でいる。

ヘマラート・イースタン・シーボード工業団地

誘致のためのインフラ整備も加速する。
柱となるのは空路と鉄道だ。
このうち前者では、ウタパオ空港で新ターミナルビルを今夏にも開業。
収容人員の拡大を図る。
同空港の昨年の利用客は80万人。
今年は約300万人が見込まれるところ、向こう5年以内に1500万人に引き上げる計画でいる。
第2滑走路の延長も進め、利用客5600万人(16年実績、以下同)のスワンナプーム空港、同3500万人のドンムアン空港と合わせた首都圏3空港体制を採る。

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一方、鉄道はバンコクからスワンナプーム空港、パタヤ特別市、ウタパオ空港を経由し、ラヨーン県の経済特区(SEZ)を結ぶ約200キロの高速鉄道を建設する計画だ。
中国が受注したノーンカーイ~ラヨーン間の高速鉄道と重複することから調整が必要だが、年内にも入札を実施する構えでいる。
この鉄道が実現すれば、バンコクと東部3県は1時間~1時間半前後で結ぶことができ、交通効果は計り知れない。

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諸手続の簡素化も目指す。
EECの開発では多くが官民連携(PPP)事業となることが予想されることから、域内で実施されるPPPによるインフラ整備事業の手続を大幅に短縮する方向で調整が進められている。
優先産業に指定されることで通常18カ月かかるところが半分程度に短縮される見通しだ。
このほか、通関の簡素化も目指す方針でいる。
改正関税法を近く発効させ、監査対象期間も短縮する予定だ。

イースタン・シーボード工業団地(ラヨーン)

こうした政府の方針に民間の動きも加速している。
水供給会社のユニバーサル・ユーティリティーズはEEC域内での供給量を拡大するため、当面の1年間で2億バーツの投資を予定している。
同社の試算によれば、開発によって域内の水需要は最終的に4~5倍に膨らむことが予想されている。
現在の年間供給水量4300万立方メートルを順次増やしていく方針だ。

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タイ工業連盟とタイ工業団地公社は共同で、次世代自動車などに使用される蓄電用リチウムイオン電池の専用工場が入居する工業団地を開発する計画。
世界の自動車市場がエコカーに転換を進める中、市場を先取りするのが狙いだ。
タイのバッテリー関連市場を5年間で10倍に拡大する計画でいる。

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EEC域内での人口増も予想されることから、不動産各社は新たな住宅建設や商業施設開発を進めている。
昨年以降、大規模な開発計画が相次ぎ、現地の不動産企業によれば投資額はすでに1000億バーツを優に超えているとみられ、今後も拡大していくと予想される。

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一方、政府は外国人が住宅目的で賃借できる土地の賃借期間を大幅に延長する方向で調整を進めている。
現在の賃借期間は30年、場合によってもう30年の延長が可能なところ、当初の賃借期間を50年と引き上げ、49年間延長可能な最長99年間とする案が浮上している。
実現すれば、ネックだった外国人による土地所有が事実上解禁されることにもなり、一気に外国の資産の流入が進むことも予想される。

動き始めたEEC開発。
この行方にタイ経済の今後がかかっている。
(写真は一部当該企業の資料から)

この記事を書いた人(著者情報)

kobori

2011年11月、タイ・バンコクに意を決して単身渡った元新聞記者。東京新聞(中日新聞東京本社)、テレビ朝日で社会部に所属。警視庁記者クラブで2・4課担当を通算4年経験。銀行破綻などの各種金融事件、阪神大震災、オウム真理教事件などの取材にも当たった。事件記者出身だが、取材対象は政治・経済、社会、科学、文化までなんでも。日本の新聞、雑誌、タイのフリーペーパーやウェブサイトなどでも執筆中。著述、講演多数。

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