グリーンコーポレーションは、海外事業を統括している高橋部長と田伏マネジャーがジョホールバルに赴任。店長を含め3人の日本人が、中華系とインド系のマレーシア人、出稼ぎに来ているフィリピン人とインドネシア人スタッフを管理している。日本と違い、多様な民族をマネジメントするのは一筋縄ではいかず苦労も多い。
それぞれの人種によって、文化的背景や考え方が違う。インド系マレーシア人は、男女ともにホールのリーダーを務めており、明るい人柄が魅力的。出稼ぎに来ているフィリピン人とインドネシア人は、労働すること自体に対して熱心など、それぞれの人種や事情によってさまざまなタイプの人がいる。一般的にもよく言われることだが、こちらの店でも「細やかさ」という点においては、日本人がもつ独特の強みになっているようだ。
前の駐在でインドネシア語をマスターした高橋部長は兄弟言語のマレー語、田伏マネジャーは英語を話し、ローカルスタッフとコミュニケーションしている。しかし「英語をほとんど話さない中華系マレーシア人のスタッフが多いですし、取引先などと込み入った経営の話をするときに、英語やマレー語では足りなく、中国語を覚える必要性も感じています」と、田伏マネジャーは多言語でのマネジメントを痛感しているそうだ。
前述のとおり、同社はビル一棟を丸ごと借り上げ、1階にラーメン店、2階に居酒屋レストランを開店しているが、3階と4階は空室。屋上スペースも使えることから「集客の効果が見込め、既存の飲食業態と相乗効果をもたらせるような業種、業態の開発を思案中です」(田伏マネジャー)。業態を自社で開発するのか、既存の事業者を誘致するのかなど具体的なプランが決まっている訳ではないが、新しい事業開発にも意欲を見せ始めている。
高橋部長はこの地に赴任する前、ジャカルタに駐在し、海外事業を立ち上げてきた。「富裕層や駐在員などをターゲットにする高級志向の日本食レストランが勝ち組になっていて、現地のミドル層を狙う飲食店業態については、まだまだ競争が激しい状況です」。確かに、東南アジアの中でも所得水準の高いマレーシアに比べ、爆発的に増大しているとみられるインドネシアの中間層の消費行動が追いつくには、年月を要しそうともいえそうだ。
シンガポールとの一大経済圏作りを目指した大型開発「イスカンダル計画」が進行中のジョホールバルは、東南アジアの金融都市国家シンガポールに隣接するマレーシア第2の商業規模を持つ都市で、両国間の人の往来が盛ん。グローバルなビジネス情報をキャッチしやすい地のりでもある。
日本の外食企業にとって一国の首都ではないジョホールバルはマイナーな存在かもしれないが、例えばシンガポールなどの首都圏に比べて、初期投資額や人材確保のコストを大幅に抑えられ、中華系マレーシア人を中心に需要をある程度見込めるジョホールバルを海外進出地の選択肢の一つにするのも、ある意味、理にかなっているのかもしれない。
店舗情報
「ラーメンダイニング 田ぶし ジョホールバル店」
「東京 春田屋」
住所
GF, No.51, Jalan Austin Height 8/3, Taman Mount Austin, 81100 Johor Bahru, Malaysia
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