以前インタビューさせていただいた「Pizza 4P’s(ピザ・フォー・ピース)」の開発責任者の久保田さんは2021年1月よりカンボジアに移住され、プノンペンでの「Pizza 4P’s」の立ち上げに携わっていました。
そして、2021年7月、ついにカンボジア1号店をソフトオープン!新店舗のポイントやオープンまでのお話を久保田さんに伺いました。
記者:カンボジア1号店の特徴を教えてください。
久保田氏:ベトナムのPizza 4P’sでは、店舗開発を進める中でその場所にあったデザインや空間の作り方、新しいコンセプトなどをデザイナーとともに意識して丁寧にお店をつくりあげていました。
カンボジア1号店ということもあり、ここでもカンボジア人にとって親しみのあるデザイン、なおかつ伝統的な技法や素材をリスペクトした店舗にしたいと考えました。
そのためカンボジア国内でも有名なヴァン・モリヴァン(※1)というカンボジアを代表する建築家の建物を実際に見て回り、コンクリートの使い方やパターンなどを適応させました。
またクメール建築(※2)の良さに、新しい手法や将来必要なサステナブル(※3)の要素を加えるカンボジア1号店にふさわしい店舗にしており、『Zero Waste』(※4)をコンセプトにしています。
通常の家屋で使う換気用のレンガ(※5)など、新しい形で店舗デザインに落とし込むことも心掛けました。
(※1)ヴァンモリバンはクメール現代建築ではもっとも有名で、誰もが知っているオリンピックスタジアムや独立記念塔などをデザインした建築家。
(※2)9世紀から13世紀にかけて興ったクメール王朝時代の建築物のこと。カンボジアを代表する世界遺産アンコール・ワットがクメール建築。
(※3)サステナブル=「持続可能な」という意味。資源を使い過ぎず、環境に負荷をかけないようにしながら将来の世代にわたり利用していくこと。
(※4)Zero Waste=ごみをゼロにすることを目標に廃棄物を減らす環境社会政策。
(※5)換気のために中央部に空洞のあるレンガのこと。ローカル家屋で空気の流れを良くするために使用されている。
記者:新しい形の店舗デザインとは、具体的にどのようなことでしょうか?
久保田氏:カンボジアに出店する上で僕らの強みを活かして何か貢献できることがないか、何が問題になっているかを調べていたときに知ったのがごみ問題でした。
分別やリサイクルの文化がなく、郊外にはスモーキー・マウンテン(※6)があり、そこで生活しているような人が多くいる現状を知って『Zero Waste』を1つのコンセプトとしました。
このコンセプトは将来の環境保持やサステナブルな世界のために、きちんと伝える必要があります。
そのため、通常は隠すべきごみの部屋をリサイクルルームとしてオープンにし、店内から見えるようにしています。
裏でやっていては利用者にきちんと分別していることが分からず、リサイクルという概念もうまく伝わらないです。
通常隠すべきごみを見せることに意味があると考えています。
この部屋で、ごみを20分別にして可能な限りリサイクルできるようにしております。
また店舗内装や家具・小物類などお客様の触れるところの素材をリサイクルやアップサイクル(※7)した素材を使っています。
そのプロセスはこちらでお客様に公開し、1つ1つのストーリーを伝えられるようにしました。
(※6)ストゥンミエンチェイというエリアにあるゴミの集積所。悪臭と有毒ガスが発生しているなど、さまざまな問題を抱えている。
(※7)アップサイクル:リサイクルでは原料や素材に分解したりするのに対し、アップサイクルではそのままを生かして再利用する方法
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