ヤンゴンで、いま最もホットな料理といえばマーラーシャンコーだ。
昨年からじわじわと流行り始め、この半年ほどで人気料理になった。
流行のきっかけになったのは、2016年2月にオープンした「ザ・スパイシーハウス」。
その後チェーン店化し、大型ショッピングセンター内の飲食店街を中心にヤンゴン市内で5店舗まで増えた。
同店を真似た店も目に付き始めた。
マーラーシャンコーの発祥は中国四川省。
漢字で麻辣香鍋と書く。
2000年代後半に北京を始めとする四川省以外で流行し始め、その後定着。
それがさらに台湾などの周辺諸国へ伝播し、タイでも数年前に流行している。
検索してみると、日本でも食べられるレストランがいくつかあるようだ。
実は、10年以上も前からマーラーシャンコーを出していた店がマンダレーにある。
現在、ヤンゴンでも3店舗を展開する「カウンカウン」だ。
マンダレーはミャンマー第2の都市で、ヤンゴンよりも中国に近く、中華系ミャンマー人や中国人も多い。
オーナーは中華系ということだから、中国の流行をいち早く取り入れたのだろう。
ヤンゴンでの流行にのり、2017年5月にヤンゴンへも進出した。
さらに言えばミャンマーにはもともと、マーラーシャンコーにそっくりな料理があった。
シャン料理のマーラーヒンだ。
多民族国家ミャンマーにあってシャン族は人口の9%を占め、ビルマ族に次ぐ第2の規模を誇る。
中国の雲南省あたりに起源を持ち、雲南料理に近い食文化を持っている。
ビルマ料理に比べて脂分が少なくバラエティに富むシャン料理はミャンマー全土で人気が高く、ミャンマー北部に広がるシャン族居住エリアから遠いヤンゴンにも数多くのシャン料理レストランがある。
そのシャン料理の中でも比較的よく知られたメニューのひとつが、マーラーシャンコーにそっくりなマーラーヒンだ。
ヒンとはミャンマー語で汁物や惣菜全般を総称する単語なので、漢字にすると麻辣菜か麻辣汁といったところか。
雲南省と四川省は地理的に近いので、四川料理のマーラーシャンコーがシャン族に伝わった可能性もありそうだ。
マーラーヒンは野菜や肉、魚介類、キノコ類、豆腐などを唐辛子たっぷりでごった煮にした汁気のない料理で、ごはんにかけて食べる。
具材は店によって異なるが、ウズラの卵と豆や米を原料とする延びにくい固めの麺はどこの店で食べてもたいてい入っている。
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