今回は、バンコクの賃料相場と飲食店の収益構造についてまとめます。
【バンコクの賃料相場】
日本からバンコクへ飲食店が進出する際にまずこのエリアと言われるトンロー地区ですが、スクンビットソイ55(トンロー通り)に面している物件では1階物件で平米1,000バーツは下らず、2012年~2013年には新築モールの物件で平米2,500バーツ以上という物件まで現れました。
2012年当時は1バーツ=2.4~2.7円と超円高で推移しており、日本からの飲食店の進出ラッシュに沸いた年で、高額な家賃の物件でもすぐ決まるような状況でした。
例えば、165sqm(約50坪)の物件で平米2,500バーツとすると412,500バーツとなり、1バーツ=2.5円で計算すると103万円位の計算となりますが、いまの水準(1バーツ=3.4円)で考えると140万円となります。タイでの新築モールは計画から3カ月から半年遅れ、賃貸契約を締結してからオープンまで1年かかるということはよくあることで、実際に建築など日本から大きな投資をする段階で、円安になり計画と大きく狂ってしまったという話が当時はよく聞かれました。
しかし、昨今の不況下の中で、高額家賃に根を上げて撤退する店舗が続出し、「ForRent」などの看板がよく見かけられるようになり、現在、トンロー地区の家賃相場は1階物件で1,000~1,800バーツ程度に落ち着いています。
その他、人気のエリアではK-VILLAGEや日本街のあるスクンビット26からラマ4通りにかけてのエリアで、こちらの賃料相場は平米800バーツ~1,600バーツとなっています。
このエリアには1フロア40sqm×4階建ての合計200sqmで25,000バーツ~30,000バーツといったタウンハウス物件もありますが、高額な譲渡金・権利金を伴うケースが殆どです。
【BTSスクンビットライン沿いの大型商業施設】
BTSスクンビットライン沿いの大型商業施設では、賃料が平米3,000バーツ以上といった物件や、特に人気のモールでは売上歩合の20%~25%かつ投資は出店者側負担といった物件もあります。そのような条件を出せばすんなり出店できる訳ではなく、デベロッパーとの強力なコネクションがあることはもちろん、大型商業施設も競争が激化している中で、店の知名度や収益度、企業の資金力、そして、試食プレゼンを通して味の評価を経て、初めて契約・出店できるといった非常に狭き門となっています。
【人件費について】
バンコクでは2012年4月に最低賃金が1日300バーツに設定されました。タイでの給与計算は休みを含む日割り計算となるため1日300バーツ×30日で1カ月の最低賃金は9,000バーツということになります。
2012年は日系チェーン店の出店ラッシュということもあり、トンロー、プロンポン界隈では経験1~2年のホールスタッフやキッチンスタッフで15,000バーツ以上の基本給を出さなければ集まらないといった状況がありましたが、不景気下の現在においては12,000バーツが相場となっています。
日本語の出来ないタイ人マネージャーで経験により25,000バーツから50,000バーツ、日本料理の出来るヘッドシェフを任せられる人材で経験により25,000バーツから40,000バーツが相場です。
ヘッドシェフになると最低5年~15年くらいの日本料理店でのキャリアがあるため、ある程度の日本語が理解でき厨房での指導はさほど苦にはなりません。
その他、タイでは毎月VAT、源泉徴収、社会保険の処理があるなどバックオフィス業務が煩雑かつ複雑で、領収書の書き方ひとつとっても面倒です。担当者を必ず1名採用しなければ業務が回らなくなってしまいます。バックオフィス業務の人材は経験者で相場は25,000~30,000バーツです。
【日本語の出来る人材について】
日本語がしっかり出来るマネージャークラスの人材を採用しようとするとバンコクの場合で40,000~50,000バーツ出さなければ集まりません。
バンコクでは日本語の出来る人材であればオフィスワークの募集も多く、職務経験がなくても日本語検定1級持っている方であれば最低相場が40,000バーツとなっています。土日定休で始業も終業の定時のオフィスワークに比べ、土日勤務でシフト制の飲食業はどうしても敬遠されがちとなります。
しかし、最初の半年間だけでも、通訳人材へのコストを惜しんではなりません。
経営者として、先に述べた煩雑かつ複雑な毎月のバックオフィス業務の理解や日々のタイ人スタッフのコミュニケーション、タイ人向けの広告作成など通訳人材がいるかどうかで大きく経営判断の速度が変わってきます。
例えば、日本語にこだわらなければマネージャーは比較的見つけ易いため、日本語が出来なくても経験値の高いマネージャーを採用し、マネージャーとは別途、最初の半年間や週3~4日のアルバイトなど専任の通訳者を採用することをお勧めします。半年間や週3~4日のアルバイトなどの縛りであれば通訳者は集まりやすく、また雇う側も大きな負担にはなりません。
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