今年、インドネシアのYouTube界隈で不思議な動画が流行した。
それは『エス・ケパル・ミロ』の作成動画だ。
インドネシアは熱帯の国である。
乾季と雨季はあるが、明確な四季はない。
故に1年を通じてアイスクリームやかき氷の需要がある。
エス・ケパル・ミロはそれにトッピングするシロップのようなものだ。
重要なのは、その名の通りミロを使うという点である。
ネスレのミロは、日本でもよく知られた飲み物だ。
だが、パウダータイプのミロに関してはあまり大きな需要はないかもしれない。
というのも、インドネシアでは大人も子供もミロをよく飲むのだ。
個人経営の商店に行けば、1パック単位のパウダーミロが必ずどこかに置いてある。
それを大人がティータイムに飲む。
ミロは栄養とカロリーを同時に摂取できるから、熱帯地方では欠かせない飲み物なのだ。
感覚としては、我々日本人が水出しパックの麦茶を飲むのと似たようなものかもしれない。
そのミロを使って新しい食べ物を作ろう、という動きが出てきた。
しかもその運動の旗手は料理研究家でも、飲食店経営者でも、ましてやネスレの社員でもない。
若年の動画配信者、いわゆるYouTuberたちによる運動だ。
エス・ケパル・ミロは、決して難しい料理ではない。
それどころか、これを「料理」というにはあまりに単純過ぎるかもしれない。
しかし、チャンネル登録者20万人程度のYouTuberがエス・ケパル・ミロを作ると、その視聴回数が100万回を超える事態も起こった。
このレベルのYouTuberの場合、1回の動画で集められる視聴回数はせいぜい10万回ほど。
もし1週間のうちに30万回を超えたら、それは紛れもない大成功である。
パウダーのミロに水とスキムミルク、チョコレートなどを混ぜ、のちにスナック菓子もトッピングする。
それをかき氷やアイスクリームにかける。
文字にすればそれだけなのだが、工夫次第ではカフェで出てくるような洒落たかき氷を作ることができる。
このあたりに作った人のセンスが問われる。
また、エス・ケパル・ミロを作る動画を見て「自分もやってみよう」と考える若者も続出している。
こうした伝播性は、現代のネット配信動画の大きな特徴でもある。
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