2020年の年始時点で都市部はかなり浸透していたデリバリーアプリですが、パンデミックになりいよいよインフラと呼べるまで広がりました。
インドネシアの新型コロナ対策は残念ながら「素晴らしい」と言えるものではありませんでした。感染者第1号を確認後、感染者数はうなぎのぼりに上昇。
パンデミック初期は、飲食店の「来店営業」が禁止になりました。(現在は一部制限つきで通常営業が可能)。
規制当時の飲食店ができることは「デリバリー」か「持ち帰り」のみ。
当然ながら、今までデリバリーを重視していなかった飲食店もデリバリーに注力し始めました。
日系居酒屋、中華料理店、はたまたラーメン店まで……。
続々とデリバリー市場参加者は増え、現在では「火鍋」や「専用鍋付きジンギスカンセット」に「カクテル」まで届きます。
飲食店とバイクドライバーの努力と根性次第ですが、もはやジャカルタでは届かないものはないかもしれませんね。
さらに個人では、「失業者」が「副業」を開始するケースも増えました。
料理やお菓子を作り、ECプラットフォームやInstagramを通じて販売するのです。
インドネシアのECプラットフォームはすでに「Grab」や「Gojek」とシステム上で連結しており、配送手段の1つとなっています。
またInstagramを通じて販売する場合は、売り手が個別に「Grab」や「Gojek」の宅配便機能を使って配送します。
こうしてマンションやショッピングモール、路面店にはバイクドライバーが列を作るようになり、待機所を設けることも珍しくなくなりました。
この1年で、もはやバイクデリバリーなしでの生活は考えられないほどに浸透したデリバリーアプリ。
蛇足ですが「モバイル決済」の浸透もデリバリーアプリの利用を促進しました。
ジャカルタをはじめインドネシアの都市部では、「モバイル決済」がここ数年で急激に浸透しました。
どれくらい浸透しているか?と言われると難しいのですが、ジャカルタにおいては「財布を忘れても1日大丈夫」なほどあらゆる場面でモバイル決済が使われています。
「現金取引をしなくて済む」という利便性と安心感も、デリバリーの浸透に大きな影響を与えたでしょう。
「新型コロナ以前の状態に戻れないこと」はいくつかありますが、インドネシアにおいては「デリバリー依存」もその1つになるでしょう。
パンデミック以前より大きな流れとして広がっていましたし、パンデミック後もデリバリー依存が残る可能性は高いでしょう。
そのため飲食店によってはデリバリー中心の戦略を取る店舗も出てきています。
都市の中心地に小規模のスペースを借り、客席を設けずカウンターとキッチンのみで展開する「クラウドキッチン」です。
例えば牛丼の「SANGYU」などが良い例です。
デリバリーとテイクアウトのみで、コロナ禍の中でも着々と店舗数を伸ばしています。
こうなってくると家賃の高い「ショッピングモール」に出店する意味を考え直さないとなりませんね。
パンデミックが鎮静化すればショッピングモールに客足は戻るとはいえ、人ごみがなくても販売ができる時代にどのような目的でモール出店するのか……。
インドネシアの都市部は大きな変化の過渡期を迎えているのかもしれません。
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