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【知らないと損するタイ進出情報】タイの財閥研究CPグループ①

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ブロイラー事業で巨万の富を得る
グループの最初の転機はこの直後に訪れた。71年、世界最大のブロイラー原種生産会社、米アーバーエーカー社と合弁で種鶏会社Abor Acres (Thailand)を設立。これまで種鶏を輸入して飼育していたのを自給生産に切り替え、川上から川下までの完全な一貫生産に切り替えようとしたのだった。

食肉専用の鶏すなわちブロイラーは、通常の鶏よりも生育が早く、食用部位が多く収穫できることで知られる。現在では、成鶏に達し出荷するまで50日程度(通常のヒナは4~5カ月)、平均的な体重は2.5kg~3kgとされている。完全なハイブリッド生産と言っていい。

問題は、ブロイラーが地鶏などの在来種からは得られず、人為的に品種改良された特殊な種鶏からしか生まれないということだった。しかも、ブロイラー同士を掛け合わせた二代目以降のヒナには、その特性は遺伝しないという特徴があった。よって、種鶏や元になる原種をいかに自給できるかがブロイラー事業の勝敗のカギを決すると言えた。

現在、世界にはアーバーエーカーのほか、チャンキー、コップなどといった種鶏が存在する。CPはこの中でもかねてから市場を席巻してきたアーバー社と組むことで、東南アジアでは初めてとなるブロイラー自給会社としての地位を得ることに成功したのだった。

また、CPはヒナをかえすための大規模な孵化場バンコク・ファームも建設。直営の養鶏場を構えたほか、近隣の農家と養鶏契約を締結し、ヒナや鶏舎、飼料、ワクチンなどを資金とともにパッケージで提供。農家が生育したブロイラーの全量を買い取るとする外部委託契約で生産量を伸ばしていった。

買い取った成鶏はグループが設置した解体処理工場バンコク・ライブストック・プロセッシングで一括処理。アメリカから導入した瞬間冷凍技術を使って冷凍チキンを生産し、商社を通じて日本や欧米諸国に輸出している。

 

ブロイラー事業の成功で、タイを世界有数の鶏肉出荷国へと推し進めた立役者CPグループ。その後は事業を養豚やエビ、魚など水産分野にも拡大していった。それは、同社が巨大財閥へと成長する過程と奇しくも軌道を一としていた。(つづく)

【CPグループ】大規模なブロイラー生産をきっかけに、今日の地位を築くに至った「チャロン・ポカパン・グループ」。2つ目の大きな転機となったのが1983年の初代総帥エックチョーの死去だった。エックチョーには2人の妻との間に12人の子供がおり、長男ジャラン(正民)、次男モントリー(大民)、三男スメート(中民)、四男タニン(国民)の4人の息子が事業に携わった。この中で、末弟のタニンが一族から後継指名を受け、グループトップとして現在まで舵取りを続けている。1921年設立、間もなく創業100年を迎える。連載後半はタニン政権下で事業部制を採り入れ、通信、石化、不動産など複合コングロマリットを形成していった軌跡を追う。(敬称略、写真はCP-eニュースから)

※お断り:【知らないと損するタイ進出情報】タイの財閥(概況)ではCPグループ創業家を「ジラワノン家(ธนินท์ เจียรวนนท์)」と標記していましたが、近頃始まった新聞紙上の連載で自らを「チャラワノン家」と標記したことからこれに合わせることにしました。

この記事を書いた人(著者情報)

kobori

2011年11月、タイ・バンコクに意を決して単身渡った元新聞記者。東京新聞(中日新聞東京本社)、テレビ朝日で社会部に所属。警視庁記者クラブで2・4課担当を通算4年経験。銀行破綻などの各種金融事件、阪神大震災、オウム真理教事件などの取材にも当たった。事件記者出身だが、取材対象は政治・経済、社会、科学、文化までなんでも。日本の新聞、雑誌、タイのフリーペーパーやウェブサイトなどでも執筆中。著述、講演多数。

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