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【カンボジア】プノンペン屈指の高級本格和食店「くずし割烹 安達」オーナーにインタビュー

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日本産の食材と手間暇かけて取る出汁へのこだわり

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2016年に成田-プノンペン間直行便が就航したことで、週3回は日本から鮮魚が届くそう。

鮮魚はすべて日本から輸入。
肉は和牛のみを使用しており、お酒も日本酒をはじめとする日本の銘柄を多数提供しているという「くずし割烹 安達」。

純日本式であることへのこだわりは、仕入れのみではありません。

安達氏が一番大事にしていることを話してくださいました。

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油分がなく、凝縮された旨味が素材と調和する日本の出汁は、世界的に見ても稀有な存在。

「私は、日本食で一番大切なのは出汁だと思っています。
和食は無形文化遺産に登録されていて世界で注目を浴びていますが、各国の名だたる料理人達が注目しているのはお寿司でもお刺身でもなく、出汁なのです。
なぜかと言うと、油分が含まれないスープというのは日本の出汁だけなんですよ。

中華でもフレンチでもイタリアンでも、肉や肉の骨から取ったスープには油分が含まれていますよね。
それが、鰹節、昆布、干し椎茸から取った出汁には油分がない上に、旨味成分が凝縮されています。

出汁は、味を調整するものではなく、素材と調和するもの。
それが世界の有名シェフ達も注目している理由なんですね。

そのため、当店では鰹節と昆布をふんだんに使って一から出汁を取ることにこだわっています。

その他、合わせ酢やうなぎのタレなども、すべて自家製です。
業務用の濃縮出汁やタレなどを使った方がコスト的に安いと思うのですが、本物の日本食をご提供する上で、これらは絶対に外せないところですので。」

世界に誇る和食の真髄をプノンペンで味わえる場所、それが「くずし割烹 安達」なのです。

海外に出るなら困難を楽しむ位の気概を持って

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個室席

中国を経てカンボジアで店舗を立ち上げられた安達氏に、カンボジアで事業を行う上で難しいと感じる点と、進出を検討している方へのアドバイスをお話頂きました。

「私の場合、中国を経験した後にカンボジアに来たので、特に難しいと感じることはないです。むしろ、中国に比べれば非常に楽だという感覚です。

当然、海外に出れば日本の常識が通用しないことばかりですから、問題がないということはあり得ませんよ。
しかし、困難があるからこそ海外でのビジネスが面白いとも言えるわけです。
私はそのような覚悟で出てきていますから、特段苦労は感じていません。

これから進出を考えている方は、まずはどんなことでも、ご自身でやってみた方がよく分かるかと思います。やはり、日本とは常識も違いますので簡単ではありません。

一番上手くいかないのは、出資のみして現場に経営を任せることですね。
そういった形の場合、よほどしっかりした日本人の右腕でもいない限り、海外では難しいのではないかと思います。」

海外での事業にトラブルはつきもの。
それを楽しめる程の余裕を持っていたいものです。

オーナー自ら現場で従業員を指導。
成果は給与に還元

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安達氏自ら毎日現場に入り、従業員を教育されています。

従業員については、日本人スタッフはおらず、全てカンボジア人を雇用しているという安達氏。

人材がなかなか定着しないことを問題として挙げられがちなカンボジアにおいて、オープン時から継続して働き、スキルも上げ続けている従業員の方もいらっしゃるということで、人材採用・育成に関して心がけていることを伺いました。

「従業員とのコミュニケーション面で難しいと感じる点は全くありません。
カンボジア人は、本当に素晴らしい国民性を持っていると思いますよ。

採用時には、飲食経験は問わず人柄・姿勢重視で、元大工や電気工などの異業種経験者も多く採用しています。
語学力に関しては、日本語が話せる者は3名程で、他の者達はクメール語か英語メインですね。

私にとっては、他店での経験者を雇うより、未経験者を一から育てていく方がやりやすいんです。
また、海外に出て来たら、初めから出来る人材などいないと思っていた方が良いと思います。
自分で育てないとだめですね。」

長く働いてもらうための秘訣として、モチベーションの源になる給与額が重要となる場合がありますが、給与支給に関しても工夫されているのでしょうか。

「給与額は、相場より少々高めに設定しています。
幅があるので平均することはできないですが、月給で$180〜$1,000程度を支給しています。

これは中国にいた頃からのやり方ですが、年1回昇給するといった制度は定めていないんです。
カンボジアでは年6回昇給させた者もいますし、何か課題をクリアしたら$5〜10上げるというケースもあります。
長く働いている者の月給は、2年程の間でオープン当時の2倍位になっていますね。

経営者である私が一緒に仕事をし、各従業員の勤務態度や成果は常に見ていますので、きちんと評価を給与に還元してあげたいと思っています。」

本物の日本食のあり方を正しく伝えていきたい

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カウンター席

最後に今後の展望についてお伺いしました。

「まずは、今の店舗の経営と人材の育成に注力したいと思っています。
2号店出店についてもよく聞かれますが、あるとすれば人が育ってからですね。

目下の目標は、従業員個々人のレベルアップです。
接客レベルも上げていきたいですし、より一層美味しいものを提供していきたいと思っています。

根幹にある想いは、カンボジアできちんとした日本食を広めていきたいということなんです。
無形文化遺産に登録されている和食ですから、世界で間違った形で理解されてはいけないと思うのです。

「日本にはこんなに素晴らしい食材があるんですよ」「これが本当の日本食なんですよ」ということを、私達が伝えていきたい。
カンボジアで出店して「カンボジアのために何かしたい」と考える方もいらっしゃるでしょうが、私としては日本のために、日本食の誇りをかけて頑張っているのです。

あえてカンボジアのために行なっていきたいことを言うなら、従業員の雇用ですね。
ただ雇用して給料を支払うだけでなく、しっかりとした技術を伝えていきたいと思っています。」

カンボジアにおける日本食の発信地ともいえる「くずし割烹 安達」。

正真正銘の日本食のあり方が、ここからカンボジアの方にじわりじわりと浸透していくことでしょう。

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■くずし割烹 安達
【住所】No33, St.294, Phnom Penh
【電話】023 679 9997
【定休日】日曜日
【営業時間】11:30-14:30(L.O 14:00)/ 17:30-22:30(L.O 22:00)
【Facebookページ】https://www.facebook.com/Adachijprestaurant/

 

 

 

この記事を書いた人(著者情報)

HARU

2015年よりカンボジア・プノンペン在住。
現地企業に勤務後、フリーランスライターに転向。
カンボジアの飲食、旅行、アート、カルチャー関連の取材・インタビュー記事を各種メディアに寄稿中。

▼詳細プロフィール
https://lifeart-gallery.com/haru_profile/

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