2015年4月1日、ホーチミン1区のMAC DINH CHI通りに、ど派手にライトアップされた大型の日本食店が開業した。串カツを売りにした屋台居酒屋「満まる」である。間口12m、1階2階合わせて約500平米に140席。4月1日のグランドオープン以来、助走期間なしに、日本人やベトナム人のお客様で連日満席が続く繁盛店となっている。
「満まる」を運営するのは、大阪府寝屋川市に本社を構えるイートファクトリー株式会社(山口社長)だ。関西を中心に、「満まる」業態など、直営FC合わせて45店舗を展開している(2015年9月末時点)。海外出店は、このベトナム・ホーチミン店が第一号店舗である。
山口社長によると、アジアを幾度も視察して回った結果、ベトナムは他の国と比べ非常に活気があり、まだ完成されていない市場であることが、参入を決める主な理由になったとのこと。そして視察の度にベトナム人と触れる機会が増え、その純粋さや成長意欲の高さに感銘を受け、将来的にベトナムと日本の人材交流を進めたいとの思いを持ちながら店舗を運営している。
その山口社長が出店を決めたホーチミン1区のMAC DINH CHI通りとは。ホーチミン日本人街であるレタントン通りから車で7〜8分の場所に位置しており、近くでもないが遠くもなく、日本人街から何人かでタクシーに乗れば気軽にお店に寄れる、そんな立地である。この通りには、うどんと焼き鳥で有名な「えびす」やバッテラ寿司が人気の「さかい」など日本レストランが増えているエリアだ。タイミングがあえばレタントン通りより比較的安い賃料で、間口が広い大型物件を狙える。
満まるの内装の特徴は、一言で言うと日本の大衆居酒屋そのものである。入り口では巨大な「ビリケン」がお客様をお出迎えする。キビキビ動くスタッフの大きな声の挨拶が店内を飛び交い、壁一面にメニューが張られ、オープンキッチンから客席までぐるりと見渡せる。肩肘張らずに仲間と大きな声で団欒できる雰囲気に仕上がっている。2階は一転、まったく違うコンセプトになっており、中央にある枯山水をあしらった日本庭園を取り囲むように個室が配置されている。明るい1階と違い暗めの照明で、接待やデートに人気だ。
来店客比率は日本人とベトナム人で半々程度。欧米人の姿もチラホラ。特にベトナム人には2階の個室が人気で、ほとんどの日で予約しないと入れない状況になっている。繁忙時はウェイティングが出る日も珍しくない。客単価は250,000〜300,000VND(推定)。売上は予想になるが順調な様子である。
メニューは、人気の串カツだけでなく、刺身や寿司、焼き物、丼もの、鍋、一品物も多数用意。子供から大人まで、また刺身や寿司が食べられないベトナム人でも十分に楽しめるメニュー構成になっている。またランチ用定食も充実している。メニュー合計数は、260点で、内訳はドリンク63、フード193、デザート4となっている。(2015年9月末現在)。
グランドオープンからすぐに繁盛店の仲間入りをした同店の強みだが、メニュー、価格、接客、立地、内装&物件に注目したい。メニューは既に述べたよう総合メニューとなっており嗜好が人によって大きく分かれるベトナム人を喜ばせられる構成になっている。価格が特徴的で、レタントン通りの日本食レストランと比べ2割程度は安い価格なっている。特にサッポロビール生23,000VNDはダントツの最安値である。この非常にフレンドリーな価格が日本人駐在員はもちろん、ベトナム人に支持されている。
接客についてもおおむね評価が高い。現地スタッフへの教育が行き届いている印象がある。どちらかと言うと恥ずかしがりのベトナム人スタッフが多いのだが、同店のスタッフは、声がよく出ているし動きも早い。これは1度や2度のトレーニングで実現できるレベルではなく、駐在している若い日本人店長が日々手を抜かず自ら実践し、背中で現地スタッフを引っ張り続けている賜物と言える。
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