現代社会の重要なインフラとなって久しいコンビニエンスストア。
東南アジアの中心地タイでも同様で、どんな僻地を訪ねたとしてもコンビニの一つや二つは容易に見つけることができる。
タイでトップを走るのが日本のセブンイレブン。
このほど累積店舗数が1万店舗の大台を超え、首位の日本を追う堂々の世界2位の座に付けるまでとなった。
2021年までに1万3000店を狙うというタイのセブン。
ライバルとバトルを繰り返すその勢いを追った。
バンコクから西に380キロ余り。
カンチャナブリー県サンクラブリー郡。
ミャンマーと国境を接する山間部の小さな村にもセブンイレブンはある。
店内をのぞいてみると、菓子にチルド食品、飲料と都市部と変わらない品揃えを目にすることができる。
レジで店番をしているのは、目の前の山の向こうに住むというモン族のミンさん(19)。
「働き口ができてよかったわ」と笑顔で話す。
クウェー川の「戦場にかける橋」で有名な同県。
現国王の名前を付したワチラロンコン人造湖のある最奥地のサンクラブリー郡は、ミャンマーから越境してきたカレン族やモン族が多く暮らす。
国境ゲートのあるスリー・パゴダ・パス(三仏峠)は外国人の通行が厳しく制限され、付近の住民かタイで働くミャンマー人労働者しか通行できない。
そんな場所のすぐ近くにもセブンイレブンは展開されている。
タイでセブンが誕生したのは1989年6月のこと。
国内最大の企業財閥CPグループが権利を得て出店を始めた。
5000店を超えるのに20年を要したが、その先は出店ラッシュを加速させ、わずか8年後に1万店台に達した。
日本国内の通算30年より短い。
今後も年700店のペースで出店を続けるとしている。
タイ・セブンの強みは、巨大財閥CPグループそのものにある。
グループ統括会社の傘の下には小売事業を統括するCPオール、食品事業を束ねるCPフーズ、大手通信会社トゥルー・コーポレーションを3つの柱に数百という企業が並ぶ。
商品の一括納入のほか、保冷車の共通運行システムを構築するなどでかかるコストを最大限に抑制することができる。
【知らないと損するタイ進出情報】タイの財閥研究CPグループ① http://e-asean.net/1320
【知らないと損するタイ進出情報】タイの財閥研究CPグループ② http://e-asean.net/1974
コンビニ事業を傘下に持つCPオールの2017年上期の連結決算は、売上高が対前年同期比6.6%増の約2382億バーツ(約7,900億円)、純利益は13.9%増えて約94億バーツだった。
さらなる増収増益を獲得するため、今年は約60億バーツを投じて出店と改装を進めるとしている。
これに対抗するのが、タイでは後発組のファミリーマートとローソンだ。
ファミマは90年代初頭にタイ進出をしたものの、アジア通貨危機などで低迷し、2012年に事実上の再参入。
タイ財閥2位のセントラル・グループと組んで出店を加速させている。
現在の出店数は約1100店。
高架鉄道BTSが発行する電子マネー「ラビットカード」との連携や日本と同様の「おにぎり」販売を強化するほか、入れたてのコーヒーを提供する「ファミカフェ」の設置も始めた。
ローソンは消費財大手の財閥サハ・グループと合弁事業を進め、新規出店のほか、サハが従前から保有していたローカルコンビニ「108」を吸収することで13年以降、「ローソン108」を展開している。
最後発のため店舗数はまだ100に満たないが、日本と同様の「おでん」販売などで認知度を高めるほか、タイ人客が好むような陳列方法や生活必需品の品ぞろえで差別化を図る戦略をとる。
このほかタイ国内では、スーパーマーケットチェーンの英テスコが運営する小型店舗「テスコ・ロータス・エクスプレス」が約1500店に達するなど、顧客獲得を目指した熾烈な戦いが続いている。
1万店を超えたセブンが大きく突出する中、後続各社がどのような絵図を描くのか見ものだ。(写真は一部各社のHPから)
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