2019年4月。
プノンペンでも外国人が多く住み、おしゃれなエリアであるトゥールトンポン地区に、昭和レトロな雰囲気が漂う飲食店が誕生しました。
左端に“笑々酒場”と書かれたのれんの奥をのぞいてみると、とびきり明るいオーナーの浦久環さんと、にこやかなスタッフさんが迎えてくれました。
「虎二郎」は、2016年6月からプノンペン市内中心部のプランピーマカラ地区で営業されていた「Pache Grill & Beer Restaurant」が、移転・リニューアルしたお店です。
新たな場所で、店名から店構えまでを一新することになった背景には、どのような経緯があったのでしょうか。
リニューアル後のお客様の反応や目指すべき店舗像に至るまで、じっくりとお話を伺うことができました。
兵庫県出身の浦久さん。
日本では、弟さんとともに立ち上げた会社にて、20年以上飲食業を営んできました。
これまで経営に携わった業態はイタリアン、寿司、焼肉、バーベキュー場、屋台事業、居酒屋などと実にさまざま。
カンボジアで飲食店を出店することになったのは、内装業を営むご主人の伸さんがカンボジア進出を決意したことがきっかけだったといいます。
「主人の会社は神戸を拠点にしつつ、日本全国のお客様から店舗の内装工事案件を請け負っていました。
2015年頃から、日本国内に留まらず新しい市場に展開していきたいと考えるようになり、着目したのがカンボジアでした」
2015年といえば、プノンペンで飲食店の出店ラッシュが続いた時期でもあります。
伸さんのみ先行してプノンペンに移住し、店舗内装事業をスタートさせました。
「異国の地で事業をスタートさせたものの、扱う素材は主人にとって初めてのものばかりでした。
そこでお客様の店舗工事を手掛ける前に、まずは自分たちでさまざまな課題を検証しようと思い、自社で飲食店を施工して運営することにしたのです」
そのような経緯で誕生した旧店舗が「Pache Grill & Beer Restaurant」。
立ち上げ・運営に関しては、飲食業の知見が豊富な環さんと弟さんが中心となり、現地スタッフと連携しながら行ったといいます。
ご主人に遅れること2年余り。
お子さん達とともにプノンペンへ本格移住した環さんは、「Pache Grill & Beer Restaurant」の移転・リニューアルを行いました。
そもそも、装いを新たにオープンすることになった背景には、どのような経緯があったのでしょうか。
「オープンから3年目に入り、物件の契約更新時期がやってきました。
カンボジアではよくあることですが、更新のタイミングで家賃が大幅に引き上げられることになってしまって。
このまま同じ場所で続けるべきか迷っていたところ、現在の物件が空くことを知り移転することにしました」
お客様の層がオープン時の想定と変わってきていたこともあり、リブランディングを兼ねて移転・リニューアルオープンすることにしたそうです。
「当初『Pache Grill & Beer Restaurant』は、ローカルのお客様をメインターゲットとしていました。
価格は抑えつつ、ローカルBBQ と日本式焼肉の中間路線を狙っていたのです。
ところが、内装がおしゃれ過ぎてしまったせいか、現地の方々には入りづらい部分があったようです。
そうした経緯もあり、途中から日本式のメニューを増やしていった結果、最終的には全体の9割近くが日本人のお客様で占められるようになっていました」
移転先の顧客層を踏まえ、「虎二郎」では日本人経営の酒場であることがひと目で分かるように、店名や内外装までを一新したとのこと。
「日本人のお客様には、これまで通り喜んでいただけるようなお店になっていると思います。
加えて、近隣に多く住んでいる欧米人の方々の他、地元のカンボジア人や観光客の方々にも入りやすいお店にしたいと考えました。
価格は、そのような視点から設定しましたね」
メニューについては、旧店舗時代から看板メニューであった焼肉、鍋はそのままに、一品物を拡充したといいます。
リニューアル後1ヶ月経った取材時点での顧客層は、約8割が日本人。
場所柄、欧米のお客様の飛び込み来店も見られるようになったようです。
平均客単価はディナーでUS18〜20ドル(約1,926〜2,140円)、ランチでUS5ドル(約535円)。
ランチは、お肉をメインにした一律US5ドルの定食を頼まれる方が多いとのことですが、お昼から焼肉・鍋メニューをオーダーすることも可能です。
現時点での人気メニューを、お客様の層別にお伺いしました。
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