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【タイ・仕掛人インタビュー】「凹んじゃいられない!」しゃかりき432”の第2幕。カナパヤ・ビアガーデン

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東南アジアの中心地タイと隣国ミャンマーで居酒屋チェーン「しゃかりき432”」などを展開するオーナー清水友彦氏(過去記事へ)が海外第2幕の挑戦に乗り出した。いずれもバンコクにあったラーメン店、お好み焼き店、鰻販売店を11月末までに閉め、経営原資を新たな店舗「しゃかりき432”カナパヤ・ビアガーデン」に集中投下したのだ。同業他社やファン層からは「引き際が大事」などと賞賛の声が上がっているが、本人にしてみれば4年前のタイへの移住・進出後、初めての本格的な〝挫折〟には違いはない。その胸の内を聞いてみた。

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Q:冒頭から恐縮ですが、まずは、3店舗の閉店の経緯から。
A:バンコク伊勢丹の中に出店していた鰻の販売店は契約期間の満了だったので予定のうちでしたが、あとの2店はやっぱり市場を読み切れんかった。低価格帯のラーメン店「ラーメン432”」や、「お好み焼き432”」といった粉もんはタイでは難しい。ただ、パタヤの「ラーメン432”」は旅行者らの需要があるので、これからも続けますよ。

Q:どういう風に難しかったのですか。
A:「クイティアオ」(タイ人が食べる庶民向け麺料理)の文化があるタイで、現地の人向けに日本のラーメンを提供しても、最後はどうしても価格競争になる。そうしたら太刀打ちできへん。こっちのは本格的な鶏ガラスープですよとか、豚骨スープですよとか言っても、化学調味料に慣れきった一般消費者にとってはどうしても関心が向かない。安いがいいに越したことはない。日本のようなラーメン専門市場は別として、クイティアオ市場はとても難しい。

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Q:お好み焼き屋はどうでしたか。
A:お好み焼きにしろ、たこ焼きにしろ、もんじゃにしろ、日本では仕事帰りにサラリーマンがYシャツめくってビール片手に、晩飯代わりにつまむという感覚ですやろ。ところが、タイでは違う。粉もんは、だいたいが「カノン」(タイ語で菓子全般を指す)という感覚や。おやつのカノン食べるのに、ビール飲んだり、夕食代わりにはせえへん。ここも難しかった。

Q:なるほど。ただ、もう少し様子を見てみるという気持ちにはならなかったのですか。
A:見ていて、スタッフが辛そうねん。暇で暇で仕事がない。配置転換する前のしゃかりき本店が良かったとか、前の職場に戻りたいとか、そういう声を聞くとホンマ気の毒になってくる。だったら、先の見えないものはスパッと止めて、みんなが明るい展望を持てるような選択をしようと決めたのですわ。

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Q:そういう時に、タイのディベロッパー「カナパヤ・グループ」から話が来た?
A:そう。でも、たまたまの偶然でしたわ。ある時、事務所に電話が来ましてね。「カナパヤ・リバーフロントでビアガーデンやってくれないか?」って。最初は「カナパヤって何や?」という感じでしたわ。調べてみると、モールなどの商業施設を開発する「あの、カナパヤだ!」ってことになって大騒ぎ。こんなチャンス、そうそうにないということになって、あれよあれよの契約となったんですわ。ありがたいことです。

Q:どんな条件なのですか?
A:もともとチャオプラヤー川一帯は、ディベロッパー各社のリバーフロント計画が目白押しで、カナパヤの事業計画もその一つ。ただ、用地は確保してあっても工事が来年春以降ということで、その間の空いた時間を有効利用したいということだったらしい。期間は来年4月中旬のソンクラン(タイの旧正月)まで。半年もない短期間のプロジェクトです。

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Q:どれくらいの規模なのですか。
A:この土地には将来、カナパヤ・グループの商業モールが建設される予定で、このあたりではかなりの大きさになるそうです。「しゃかりき432”カナパヤ・ビアガーデン」の座席数は現在600席。もちろん、「しゃかりき」全店で最大の規模です。川に面したテーブル席のほか、座敷仕様にした座卓、見晴らしの良い2階席、専用のトイレ、子供が遊べるブランコなどの遊具もあります。ちょっとした遊園地ですわ。

Q:現在は、ソフトオープン中とか?お客さんの入りはどうですか。
A:そう。12月10日(土曜日)にグランドオープンを予定しています。リバーフロントという郊外型の立地から、今のところはやはり週末にかけてのお客さんが多いですね。これまで、何度か満席になったこともありましたが、平日はまだまだ。メイン通りからの入り口がやや分かりにくいので、看板を設置する計画です。誘導のためのスタッフも配置していますから安心して来ておくれやす。

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Q:今回の新規出店、ラーメン店の閉店などで教訓となったことは何ですか?
A:あれこれとチャレンジするのはいいのだけど、ちゃんとしたビジョンを持たないとあかんということですね。それと、スタッフあっての事業。スタッフのためになるか、喜んでもらえるかを常に考えないとあきまへん。自分がやりたいだけじゃだめですね。勉強になりました。これからも、チャレンジして行きまっせ!

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インタビューの締めくくりに、「しゃかりき432”カナパヤ・ビアガーデン」で働く何人かのスタッフに話を聞いた。「しゃかりき命。とても楽しい」と話すのはミャンマーから働きに来ている女性スタッフ。勤務ももう4年になるという。一方で、タイ東北部出身のタイ人女性も笑顔で汗を流す。「仕事を与えてもらって感謝しています。こうやって、お客さんと知り合えるのもいいです」。座席数600席が来場者で埋まった光景は圧巻の一言。「しゃかりき432”」の快進撃はしばらく続きそうだ。

この記事を書いた人(著者情報)

kobori

2011年11月、タイ・バンコクに意を決して単身渡った元新聞記者。東京新聞(中日新聞東京本社)、テレビ朝日で社会部に所属。警視庁記者クラブで2・4課担当を通算4年経験。銀行破綻などの各種金融事件、阪神大震災、オウム真理教事件などの取材にも当たった。事件記者出身だが、取材対象は政治・経済、社会、科学、文化までなんでも。日本の新聞、雑誌、タイのフリーペーパーやウェブサイトなどでも執筆中。著述、講演多数。

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