未だに新規参入が続く飲食店や美容室、ホテルなどの日系サービス業。
タイで日本と同じようなレベルの店舗運営をしようとする場合、再現するのが難しいと言われている接客サービス。
タイ人に日本人のようなサービスや接客をさせるのはちょっと難しいと感じている方も多いのではないだろうか。
ところが「いらっしゃいませ!」という元気な挨拶、笑顔での接客など日本と同等レベルの接遇・サービスをタイで実現している企業がだんだん増えてきている。
背景には、その仕掛け人として日本でも全国に展開している「グローイング・アカデミー」の存在がある。
今回はグローイング・アカデミーのダイレクター、齊藤 哲 氏へ取材した。
Q:まず最初にどんな会社かご紹介ください。
A:グローイング・アカデミーは今から5年前に創業して現在では東京、横浜、名古屋、大阪、福岡、北海道、バンコクと国内6拠点、海外1拠点を展開しています。
主なサービスとしてグローイング・アカデミーというサービス業に特化した来校型の研修を行っております。
弊社の代表の有本は日本マクドナルドの社内教育機関であるハンバーガー大学の学長ならびにユニクロの社内教育機関のユニクロ大学の学長を務めた人間です。
そのノウハウや知見を幅広くサービス業全体にご提供したいという想いで創業した会社です。
2015年12月に開校したバンコク校では、タイで出店している日系企業様ならびに接客サービスレベルを高めたいという考えをお持ちのタイローカル企業様のサービス向上や接客サービス向上の為の研修を弊社のタイ人講師たちがタイ語で直接指導しております。
Q:どのような経緯でバンコクに展開を始めたのでしょうか?
A:もともと創業の時から「日本のサービス、店舗運営技術、教育ノウハウを世界に」という気持ちがあり、海外での展開を決めておりました。
じゃあどこに進出するかという時に、サービス業が成熟しており、日系企業の進出も多く親日国家であるタイにねらいを定めて、バンコクに開校いたしました。
Q:どのような研修を行っているのですか?
A:開校当初は定額制研修(月々2万バーツで受け放題)のグローイング・アカデミーからサービスをスタートさせました。
最初は20講座くらいでスタートしたのですが、現在はお客様のご要望に合わせながら新しい講座を次々と開発しておりまして、一般社員の方から店舗マネージャー、GMクラス向けの講座にいたるまで現在31種類の講座を提供しております。
当初はグローイング・アカデミーだけで授業をやっていたのですが、企業様、とくにローカル企業様から「研修以前の問題として店舗の基準づくり、サービスのスタンダードを決めたい」というようなご要望があり、サービスマニュアルの作成や、それを現場でタイ人以外の方にもより理解を深めていただくためビデオマニュアルの作成も請け負っております。
さらに、やはり研修をしていてもその時は動きが変わるものの、すぐに戻ってしまうという傾向もあるため、定期的に弊社のスタッフが店舗を臨店してクオリティのチェック、QSCのチェックを行い、その内容のフィードバックを行うというSV(スーパーバイジング)代行のような事も行っております。
Q:始めてめてみてどのような苦労がありましたか?
A:研修のカリキュラムを作成するために日本でやっていた講座をタイ語に翻訳するところから始めたのですが、当然ただタイ語にすればいいというわけでもなく、やはりタイ人に合わせたニュアンスにしたりする必要がありました。
そこでうちのタイ人講師のメンバー全員に日本で3カ月間過ごしてもらい、日本人講師とコミュニケーションを取りながら作成を進めることになったのですがそれが最初なかなか大変でした。
ところが、タイ人メンバーが期待以上に色々工夫してくれ、日本では全然使われていないようなビデオの使用を提案してくれたり、講座の内容をどんどん楽しいものに変えてくれたんです。
おかげで今となっては日本よりいい講座ができているのではとも思っております。
Q:開校してみてどうでしたか?
A:初期のお客様は20社くらいでスタートしたのですが、想像以上に自社の社員さんを研修に送って来られました。
月に何回もいらして下さる方も増えて教室が一時、満席で予約がとれないといったような状態になってしまいました。
嬉しい悲鳴なのですが、受け放題だから元を取ろう、みたいな感覚もあったようで(笑)。
講座にはもちろんいらしていただきたいのですが、ただたくさん受ければいいというものではありません。
私たちのほうからも「研修をたくさん受けて成長するのではなくて、研修で習った事をお店でちゃんと実践する事によってお店が変わる」というお話をさせていただいてます。
開校当初は受講生がちゃんと来てくれるか、途中で飽きて寝てしまったりするのではないかと不安だったのですが、実際にはみなさん楽しそうにご受講いただいていますね。
受講生に話を聞いてみると「今まで研修を受けたり、勉強をする機会というのがなかなかなかったので、こういう機会を与えてもらってすごくありがたい」「会社に感謝している」という方がすごく多かったのが意外でした。
Q:どんな企業様がご利用を?
A:サービスに力を入れていこうという真面目な企業様が多いですね。
UCC 、 モスバーガー、イオン等の日系企業、モーモーパラダイスをフランチャイズ展開するノーブルレストラン、サイアムパラゴンやエンポリアムを経営するモールグループ、とんかつまい泉などをフランチャイズ展開するS&Pなど。
現在は日系企業とタイ企業では4:6でタイ企業が多いです。
Q:今後については?
A:現在、日系企業とタイローカル企業両方のお手伝いをしていますが、両方とも伸ばしていきたいです。
特に最近ローカル企業の接客サービス向上に対するニーズが非常に強くなってきているので、僕らもタイでビジネスをさせていただいている以上はタイの接客サービス力向上のお役に立ちたいと思っています。
一方で日系企業のサポートについてですが、タイはサービス業における競争が厳しいとはいえ、まだまだASEANの中では進出しやすい国である事は間違いありません。
ただ、これだけ競争が激しくなってくると本物しか勝ち残れないという状況だと思います。
これから海外進出を検討している企業も多いと思うのですが、進出のしやすさからタイが一カ国目になる、というパターンは今後も多いと思います。
そういった企業に向けて人材の採用から初期教育、その後の店舗指導まで一貫してお手伝いできるようなサービスを提供していきたいですね。
取材を終えて、やはりにタイ進出する上でネックになるのは人材面だと感じた。
その点で、グローイングアカデミーの果たす役割は大きいのだろう。
■会社情報
Hospitality & Growing Japan TH Co., Ltd.
(グローイング・アカデミー バンコク校)
住所:399 Interchange 21 Building, Unit A, B2 Fl., Sukhumvit Road,
Klongtoey Nua, Wattana Bangkok 10110
Tel +(66)2-611-2612 (日本語対応可)
Facebook https://www.facebook.com/GrowingAcademyThai/
Web site http://g-aca-th.com/jp/
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