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「千房」経営者インタビュー

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1 撤退からの再チャレンジ

 

Q 海外展開をスタートさせたきっかけを教えてください!
3年程前から海外展開を再スタートさせました。証券会社出身で、海外情勢について多少の知見があったため、「海外はこれからだから、再チャレンジをしたい」と社長(当時)に懇願しました。以前は、ハワイ・ニューヨーク・オーストラリアの3ヶ国で展開をしていたのですが、ハワイ以外の2店舗はすぐに撤退しました。ハワイは28年、現在でも営業を続けております。日本の外食産業自体は大きいマーケットですし、まだまだ拡大の余地はあると思います。しかし、自分の働いている店舗が海外に出店しているのは、従業員に対するインナーブランディングをする上で大切になってきます。グローバル事業本部も設立しましたので、これからさらに本腰を入れて海外展開を拡大していくつもりです。

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Q 再チャレンジされる際、会長(前社長)からのアドバイスはありましたか?
会長からは、「『野村證券の“の”の字も出すな』『今日入ったアルバイトを含め、自分のために働いてくれていると思え(従業員への感謝の気持ちを忘れるな)』、この2点を守れば何をやってもいい」と言われました。海外展開の再チャレンジも含め、新しいことをやらせていただいております。2つ目に通ずる部分でもあるのですが、もともと海外展開を始めたきっかけは従業員のためです。

 

Q 海外はどのような形での出店をされていますか?
フランチャイズ(以下FC)での出店をメインとしています。現パートナー様は現地の企業が多いですね。現地のマーケット全てを完璧に把握している訳ではないため、その国ごとに異なったパートナー様と組んでいます。

 

Q 展開される際、地域を選ぶ上でのこだわりはありますか?
今までと違う戦略で進出していかないとだめだと思っているため、あまり日本食が沢山あるところは避けましたね。ホーチミンは日本の飲食店の出店がある意味1周してしまっており、意図的にハノイに出店しましたね。当時、ハノイは比較的日本食レストランが少なかったのです。

 

Q パートナー様選びで最も重視していることを伺えますか?
規模感やノウハウはもちろん大切ですが、弊社はそれよりもそのパートナー様と一緒に事業を行いたいか・心から信用できるかを最も重視しています。人として信頼し合っていれば資金面など、その他の部分ではいくらでもフォローできます。また、こちらのスーパーバイジングも大事ですが、“千房イズム”を守ってくれるパートナー様というのは絶対条件ですね。

 

2 “文化が違う難しさ”とは

 

Q 海外店舗の現在の状況はいかがですか?
売上は全体的に上がってきています。特に10月オープンの台湾は今一番波に乗っていますね。

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Q FCでの出店形態にこだわっているのはなぜですか?
もともと会長があまり乗り気ではなかったため、初期投資を抑えるという意味でFC形態で出店を始めました。しかし、リスクがない代わりに生み出す収益も限定されます。今後は、少しずつ直営店舗を増やしていきたいです。10月にオープンした台湾の店舗は、弊社から約9割出資をしたベンチャーキャピタルで運営を行っています。もともとお好み焼きが浸透していたこと、それに加えマーケットも日本に似ている台湾だからこそできたことです。

 

Q 海外進出で最も大変だったことは何ですか?
やはり文化が違うため“育成”という部分は大変でした。日本人の感覚では、仕事中は仕事に集中するのが当たり前だと思います。しかし、海外の人たちの考えでは仕事中でも家族やプライベートが一番なので、仕事中に携帯電話をいじってはいけないという感覚が分からないのです。仕事中、携帯電話を見ていない間に家族から連絡がきていたらどうするのか、と聞かれました。
きちんと、なぜだめなのか、その理由を落とし込むことが必要です。海外に関しては理由も含め詳細に記載をし、ある程度マニュアル化しなければなりません。やり続けて定着させることが大切ですね。

 

3 “千房イズム”をつくっているもの

 

Q 人材面での苦労はありましたか?
全てにおいて人が一番です。弊社では、教育はすなわち“共育”として新入社員研修なども、全部内部の人間が行っています。内部の役職者が講師となることで、講師も勉強しながら共に成長することができる場を作っています。また、採用の取り組みとして、創業当時から受刑者を採用しています。スタッフの前で彼らの情報も全て開示します。もちろん一線を越えた事実は悪いことですが、しっかり罪を償って未来を見ることも大切です。本人たちの未来を明るくしたい、という意気込みが強ければ何の問題もないと思っております。私自身、子どもの頃からこの取り組みについてはもちろん知っており、素晴らしいと感じ、社内に浸透している取り組みなのだと思っていました。しかし、実情は本社と現場が一枚岩になっていませんでした。そのため、私が会社に入って第1回目の店長会議で「この職親プロジェクトは当社の人材育成の根幹であり、もし取り組みたくない者がいるならどうぞ辞めていただいて結構です」と想いを伝えました。現在でも、私が月に2~3回刑務所に足を運び、現状を現場に落とし込んだりもしています。普通の飲食店とは違い特殊かもしれませんが、ここには“千房イズム”がありますね。

 

Q “千房イズム”の部分で、社内で行われていることはありますか?
例えば、弊社の社員旅行にはスリッパ係がいます。従業員全員のスリッパを並べる係です。当たり前のことを当たり前にする文化は今でも根付いています。私が中学生くらいまで、が出社する前に必ずの靴磨きをしていたのですが、私が千房に入って、ある日実家に帰ると、が私の靴と孫の靴を磨いていたのですよね。あの時は本当に背筋がピンとしました。今の時代、いくらIT社会へと移り変わっても、やっぱり最後は人と人だと思います。お店はロボットがいれば回るかもしれませんが、お客様は離れていってしまう可能性があります。そのため、時代が変わっても“千房イズム”の部分は必ず継承していきます。

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Q 評価制度も一新されたとお聞きしましたが……?
人事評価の部分であったり、頑張ったら頑張った分評価される仕組みであったり、一新しました。常に最新の状態にしていかなければならないため、近々再度変更を予定しています。例えば、先日行った店長会議では、従業員から役員に対しての質問会を4、5時間設けました。みんなどんどん質問してくれるのですよね。次々に際どいところまで質問が止まらなかったです。その他の取り組みとしては、パート制度を廃止し、社員のみにしようと思っています。現在、パートで勤務している方はパートでいる理由があるはずなので、求めている姿で働ける社員の枠を作ればいいのです。人が定着するには外発的要因と内発的要因がありますが、この人と働きたい、という内発的要因が肝になると思います。会社自体のインナーブランディングもとても大事ですね。

 

4 将来的な“千房”とは

 

Q 今後、海外への出店予定はありますか?
まず、基本はアジアからですね。現状では、インドネシア・マレーシア・ロシア(サンクトペテルブルク)・アメリカ(ニューヨーク)・ブラジル(サンパウロ)に出店予定があります。デリバリービジネスもスタートしていけたら、と思っております。

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Q 将来的なビジョンを教えていただきたいです!
会社は公のものだと思っています。創業者、中井(会長)の想いを引き継ぐ制度を作っていかなければなりません。僕が会社に入った理由は千房の従業員を幸せにするためで、お客様満足度と従業員満足度はイコールだと思っています。創業者の想いを伝える、“千房イズム”の継承をしっかり行っていきます。
また、父がよく「他のお好み焼き店にお客様が並んでいても、並んでいなくても腹が立つ」と言うのです。その言葉に表れている通り、競合という意識はあまりありません。お好み焼きという文化をみんなで仲間として世界に広めていきたいです。飲食業は本当に難しいため、いかに外食産業の地位向上を図れるかが今後のポイントになってくると思います。外食産業というものをもっともっと盛り上げていきたいですね。

この記事を書いた人(著者情報)

rin

教えてASEAN編集部として日々経営者の方にインタビューさせていただいております!

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