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【ベトナム】日本製化粧品や医薬品の輸入代理店「里薬品貿易株式会社」代表取締役インタビュー

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記者:どの様なお客様がいらっしゃいますか?
里吉氏:ほとんどがベトナム人のお客様です。
ホーチミン・ハノイ・ビンズン省(※1)・ドンナイ省(※2)の小売店約430店舗に商品を卸しています。

(※1)ビンズオン省と記載されることもある。海外企業誘致に積極的な地域であり、ホーチミン市を中心とした南部経済圏の主要な省の1つ。製造業をはじめとした多くの日系企業が投資をしている。2013年にはロッテマートがベトナム国内5店舗目となるビンズオン店を開業した他、2014年11月にはイオンモール ビンズオンキャナリー(AEON MALL Binh Duong Canary)も開業。

(※2)ホーチミン市に隣接している工業地帯。ロンタイン国際空港の建設計画が進められている地域でもある。

記者:人気商品を教えてください。
里吉氏:1人当たりの1回の購入金額は60万ドン(約2,820円)で、化粧品では美白商品、健康食品ではナットウキナーゼ(※3)・フコイダン(※4)などの健康補助食品・サプリメントが人気です。

DHA(※5)・EPA(※6)サプリメントもベトナムでは人気があるのですが、こちらはアメリカ系のメーカーのものが安価なため価格で戦えず、原材料が日本特有のものを主に販売しています。

(※3)納豆のねばねば部分に含まれるたんぱく質分解酵素。血栓を溶解する作用があり、脳梗塞の予防が期待できる。

(※4)コンブやワカメなどの海藻に含まれるぬめり成分。がん抑制作用、免疫力強化作用、血管新生抑制(がん細胞が栄養を取り込むために自ら血管を作るのを抑制する)作用が期待できる。

(※5)「ドコサヘキサエン酸」の略称。青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸で必須栄養素。、脳・神経の発達にとって必須成分と考えられていて、摂るといいと言われている。

(※6)「エイコサペンタエン酸」の略称。青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸で必須栄養素。血液をサラサラにして血栓による病気の予防や血中の脂肪、コレステロール濃度を下げる効果が期待できる。

ホーチミンを中心に活動するスカバンド「hem☆hem Saigon」のメンバーでもある里吉さん。飲食店やイベントなどでも活躍されている。ホーチミン発のクラフトビールメーカー「Pasteur Street Brewing」とコラボした「hem☆hem Rice IPA」も販売中

記者:ベトナムで苦労したこと、大変なことは何ですか?
里吉氏:エスエイウェアハウスの起業当初は、ベトナム人の購買意欲をよく理解しておらず、メーカー様が保有する日本での成功事例をそのまま実行していました。
しかし、日本とベトナムでは文化・インフラ面が異なるため、ベトナム人が物を買う基準も、当然、日本人とは違います。
初めはまったく売れませんでした。
そこから闇雲に売るのではなく、ベトナム人の社員達と一緒に小売店や販売代理店さんの声を聞くようにしました。
3年かかって、ようやく二合目くらいまでベトナムの市場を理解してきました。
頂きまではまだ八合ありますので、もっと地元に入り込んでいかなくてはと考えております。

記者:ベトナム在住日本人の方と交流していて、プライベート面でも大変と感じていることがあるのだとか?
里吉氏:独身で移住すると、結婚するのが大変だと思います。
日本人同士の恋人であればいつか日本へ帰りたい、もしくはベトナムに残りたいと意見が割れることがあります。
結婚したいから日本へ帰るというベトナム在住日本人も多くいました。
一方、ベトナム人がパートナーであれば、日本人はいつか日本へ帰るのではないかと心配され、積極的に結婚とはならないことがあります。
ベトナム人パートナーと結婚された方も大勢いますが、住む場所で皆さん苦労されています。

記者:次のビジョンを伺えますか?
里吉氏:ゴールは、当地で最低でも2桁億円の資産をつくることだと考えています。
ベトナムは2000年代から段階的に外資参入が認められるようになりました。
もう10年以上滞在している日本人投資家や事業家は、黎明期からベトナムに賭けていたということになります。
さらに、今後は、人口ボーナスで消費が拡大し黄金期を迎えます。
そのような状況で数億だけ稼いでも寂しいじゃないですか。
目標が達成できたら、次はモロッコに移住したいです。

モロッコには街中の建物が白く塗られたカサブランカという街や、アラビアンナイトの1シーンに出てきそうな城壁に囲まれた街フェズなど、アジアともヨーロッパとも一線を画した「世界で一番エキゾチック(外国感のある)」な国です。
モロッコでも化粧品を売れたらいいなと思っていますが、別のことをするかもしれません。

「hem☆hem Saigon」のメンバーと(左から7番目:里吉さん)

記者:2020年以降、世界は新型コロナに翻弄されています。何か影響はありましたか?
里吉氏:2020年3月から約1ヶ月続いたホーチミン市のロックダウンでほぼ全ての案件・業務がストップし、私自身も自宅待機で暇な時間ができました。
そこで本を執筆したり、YouTubeを始めたりしました。
YouTubeでは、ベトナムで販売パートナーのつくり方やインフルエンサーを使ったマーケティング方法などを紹介しています。

記者:これからベトナム進出を検討されている方へのアドバイスをお願いします。
里吉氏:私からのアドバイスは
・(結婚願望がある場合は)ストレスなくベトナムに住むことができる、もしくは住むところがどこでもいいというパートナーを見つけておく
・日本にいるうちから生活水準を落としておく
東京だったら2人で5万円で住むぐらいの感覚です。
生きることにかかる経費というものは少ない方が、やりたいことにお金を注ぎ込めます。
・1つのことで成功できると思わない
初めは思いついた事業をいろいろとやってみると、その中で他の誰かがやっていない特別なサービスをひらめくことがあります。

パーフェクトワン(化粧品)のベトナム進出イベントにて(中央左:里吉さん)

記者:ありがとうございました。


・里薬品貿易株式会社:https://satoyakubou.co.jp/

※1ベトナムドン=約0.0047円で換算



この記事を書いた人(著者情報)

寺内真実

1年ホーチミン、8年以上ダナン在住。
中央大学卒業後は金融系(FP2級)、医療系の会社に勤務。
「暑い国に住みたい」と勢いで渡越し、現地の日系旅行会社を経て、現在は現地サービス業とライター業をしている。
写真は生後1週間で保護した愛猫“大福”と。
著書▼
「癒しのビーチと古都散歩ダナン&ホイアンへ」イカロス出版
※電子版はこちら
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