記者:2017年に「天ぷら懐石 花美」をオープンして現在で4年ほどたちますが、実際に経営・運営されていかがでしょうか?
伊藤氏:そうですね、私の場合は意外と場所もすんなりと決まりましたし、内装なども全て巡り合わせで順調に進みました。
特に大きなトラブルもありませんでした。
実は、私が公邸料理人を勤めていた時、総領事館では日本人在住者の方をお招きして定期的に会食が行われていました。
当時の総領事は会食に出席された方にあいさつをする際、ありがたいことに私のことも紹介してくれていたのです。
おかげで独立時には、現地で私のことを知っている方がすでにおり、ご家族やご友人などを連れて来店してくださるなど、直後からお客様が来てくれました。
そこは本当にありがたかったと思っています。
花美では何度も足を運んでくださる方に毎回楽しんでほしいという想いもあり、日本の四季に合わせてコース内容を変えています。
記者:2021年5月にオープンした姉妹店の「食堂一輪」を始めた理由はどのような経緯だったのでしょうか?
伊藤氏:1つは、花美はコース料理となっているため、来店客が絞られる店だったということです。
コース料理ほどたくさんの量を食べられない、1人でも気軽に来れるように一品料理がほしい、お子様連れでも来やすい、ワイワイ食べたいなどの要望をお持ちのお客様に、花美に来店していただくのは難しいと考えていました。
そのような方々が気軽に来れて、おいしい食事を楽しめるお店をつくりたいとずっと思っていて……。
2つ目は社員の人数が増えたことです。
優秀な社員が育ったため、彼らが活躍できる場を増やしたいと思ったのです。
社員が活躍できる場と、気軽にふらっと行きやすいお店、食堂や居酒屋のような単品料理を提供するお店をつくりたいと思ったことが「食堂一輪(以下、一輪)」を出店したきっかけです。
記者:客層は日本人が多いのでしょうか?
伊藤氏:現時点だと花美で7割が日本人、その他欧米人やベトナム人の方に少しずつ口コミで広まっています。
一輪は9割日本人のお客様ですね。
一輪は花美の隣にオープンしたのですが、在住欧米人の多いエリアなので、もう少し欧米人やベトナム人にも来ていただけるようにするのが今後の課題です。
FacebookやInstagramは極力毎日更新して、知ってもらえるように頑張っています。
特に花美は敷居が高いと思われがちなので、投稿内容は比較的気軽に読めるような感じで作成しています。
記者:今後は花美や一輪の店舗を増やしていこうと思っていますか?
伊藤氏:今は考えていません。
特に花美は店舗展開は難しいかなと考えています。
まだ日本食と聞くとすしのイメージが強く、懐石料理のことをもっと知っていただくことがまずは大事かなと。
日本人在住者の人数にも限りがありますし、外国人やベトナム人のお客様にもっとお店のことを知って食べに来てもらえるようにしていきたいですね。
記者:これからベトナム進出を検討されている方にアドバイスをお願いします。
伊藤氏:言葉に関しては、実はそこまで関係ないのかなと。
ただどれだけ親身になれるかと、とことん教えることが大事だと思っています。
こちらが遠慮して「ベトナム人だからできない」「ベトナムだからこれくらいでいいか」と妥協することなく、自分の全てを教えるぐらいの気持ちで育てています。
ここを妥協すると最初は良くてもそのズレがいずれ大きくなり、うまくいかなくなると思うので、スタッフたちと真剣に向き合うことが大切です。
記者:伊藤さん、ありがとうございました!
■天ぷら懐石 花美
住所:18 street, 41, Thao Dien Ward, Thu Duc City
電話:+84 93 111 50 88
営業時間:18:00~22:30
定休日:日曜
Facebook:https://www.facebook.com/tempurakaisekihanabi
■食堂一輪
住所:16 street 41, Thao Dien Ward, Thu Duc City
電話:+84 93 777 36 15
営業時間:17:00~22:30
定休日:日曜
Facebook:https://www.facebook.com/kitchenichirin
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