アジア各国の在住者が日系レストランへ最初に行く場合、店舗情報を得る方法が様々あると思うのだが、今回それぞれの国に住んでみた在住者の立場から店舗の販促方法の違いをまとめてみた。
まずはカンボジア、こちらでは圧倒的にフェイスブックを経由して直接お客となるだろう層に宣伝しているお店が多いように感じる。
フェイスブックのいくつかの日本人コミュニティに登録していると、ほぼ毎日のように「今日のオススメメニュー」「お得メニュー情報」または「◯◯の為お休みします」などなど各レストランの情報が流れてくる。
もちろんカンボジア日系フリーペーパーにも各店舗情報が掲載されているのだが、最近フリーペーパーそのものを街で見かけることが少なくなった。
いくつかのレストランにはレジ前に置いてあったり、本棚にさりげなく置いてあったりするのだが比較的存在感が薄い。
カンボジアの飲食店は他の国に比べて在住日本人のみをターゲットにした店舗が少ない。
在住日本人が少ないので、それ以外の外国人や地元の人も含めた客層を想定しないと成り立っていかないからだ。
販促についても日本人しか見ないフリーペーパーに出稿するより、ダイレクトに顧客となり得る層にアプローチした方が効率が良い。
また、お客との距離を縮めるような接客やサービス(ある飲食店では冷たいミネラルウォーターを一本、全員にサービスしている)、店舗側の情報をリアルタイムに発信することで、お客に近い存在をアピールし、コアな顧客を獲得する方向にシフトしていると考えられる。
一方ベトナムは、あらゆる日系レストランにたくさんのフリーペーパーが置いてあり、その中にはありとあらゆるジャンルの日系レストランの情報が所狭しと並んでいる。
みているだけで楽しくなるのだが、逆にカンボジアとは反対にフェイスブック上で情報を掲載している店舗は少なく、まれにあったとしても情報をほとんど更新していない。
ベトナムの場合、日本人が住む場所がハノイとホーチミンの2つに大きく分散されている。
どちらか一方の土地にしかないお店がフェイスブック上の日本人コミュニティにダイレクトに宣伝しても物理的に行けない人が多く、頻繁なプロモーションは逆に嫌がられることが予想される。
競合も多く、例えば「今日はラーメンを食べたいな」と思ったら常に複数の選択肢がある。
そこで地域ごとにまとめられているローカルフリーペーパーを参考にすることが多いのだ。
また、ベトナムの店舗は次回来店時に利用できるドリンク無料券などのクーポンを配布している場合が多いのも特徴としてあげられる。
一方カンボジアではこういったサービスはほぼ皆無だ。
ベトナムでは先に述べたようにお店の選択肢が多く、お客は各店舗を回遊する可能性が高い。
少しでもリピーターを獲得したいと思う店舗側としてはこの方法は効果が高いのだろう。
・在住日本人の登録者数:カンボジア 2492人 ベトナム1万4695人(2015年度情報)
(正式に登録していない日本人も多いので一概に言えないが、単純に比率の比較だけを見ても日本人をターゲットにした販促活動に大きな違いが出てくることに納得がいく。)
日本から見ると隣国同士、似たような国のイメージでも日系レストランがターゲットとしている在住の日本人の数は圧倒的に違う。
飲食店の競合は少ないが対象日本人が少ないカンボジア、競合が多いが多数の日本人を想定できるベトナム。
また、従来から利用されているローカルフリーペーパーの活用とSNSを利用した販促。
双方に住んでみて、同じ東南アジアの隣国といえども市場規模やターゲットとする層によりその宣伝方法に大きく違いがでるのだなと改めて感じた。
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