東南アジアのタイでショッピングモールや複合施設など商業施設の開発意欲が回復を見せ始めている。
現在、バンコク首都圏を中心に30施設程度が計画され、年内に少なくとも10数店、二桁の施設で開業を迎える見通しだ。
背景には、ファーストカー減税策の反動で低迷した景気の波が戻り、2017年後半を中心に上昇に転じるとの見方がある。
最近の動向をまとめた。
百貨店大手のセントラル・グループは今年、総額約500億バーツ(約1500億円)を投じて商業施設やホテル、コンドミニアム(分譲マンション)の建設を進める計画を発表した。
旗艦の「セントラル百貨店」では、バンコク西郊サムットサーコーン県マハーチャイ、東北部ナコーンラーチャシーマー(コーラート)、北部カムペーンペット、ピチット、パヤオ、南部ペチャブリーで計6店を開業させるとしている。
英国大使館跡地に3年前に開業させた「セントラル・エンバシー」についても隣地の同大使館用地をさらに買い取り、事実上の増床を進める方針だ。
開発には最大500億バーツがかかる見通し。
欧州進出の拠点とするイタリアでも高級百貨店「ラ・リナシェンテ」をオープンさせる。
コンビニエンスストア「ファミリーマート」とスーパーマーケット「TOPS」など小売店舗も最大400店舗の新規開業を目指す考え。
このほかレストランも70~80店の出店を予定する。
コンドミニアムは北部チェンマイや東北部ナコーンラーチャシーマーで合計1000戸を計画する。
ホテル運営大手ドゥシタニ・グループと共同で、現在「ドゥシタニホテル」が建つ土地に大型の複合施設を建設する計画もある。
投資総額は最大400億バーツとみられ、このうちの半分をセントラル側が負担する方向で調整を進めている。
東北部ナコーンラーチャシーマーでは、住宅開発大手ランドアンドハウスが「ターミナル21」でセントラルとの対決に挑んでいる。
バンコク東郊の大規模商業施設「メガ・バンナー」を運営するSFディベロップメントでも拡張の計画がある。
現在の200ライ(1ライ=1600平方メートル)から、全体で倍増となる400ライの施設を目指す計画だ。
ここに新たな商業施設やホテル、オフィスビル、コンドミニアムを建てるとする。
メガ・バンナーでは初めてのテナントとの契約更新(原則3年)が終わり出店も安定的に推移。
来場者も上昇に転じていることで、この好機を活かそうと新たな投資に踏み切ることを決断したもようだ。
全域の開業までには10数年ほどかかる見通し。
バンコクの中心部ラチャプラソン地区では、高級商業施設「ゲイソン」を運営するゲイソン・グループが投資のスピードを加速させる。
現在、同地区の北側ではオフィスビル「ゲイソン・タワー」が建設中で、付属する小売施設などと共に年内の完成を予定する。
これを受け、南側にある商業施設「アマリン・プラザ」では来年早々にも再開発の着工に入る。
全ての施設を連絡橋で結び、「ゲイソン・ビレッジ」として整備していく方針。
ザ・モール・グループが高架鉄道BTSプロンポン駅で進める「Mディストリクト計画」と同様に、新たな集客拠点となる可能性を秘めている。
タイ・ショッピングセンター協会によると、国内全域にある大規模商業施設は現在100店舗弱。
この2年ほど足踏みの状態が続いていたが、今年になって建設意欲に回復が見え始めているとしている。
新たなランドマーク出現が注目される。
(写真は各社のHPなどから)
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