シンガポールは、イスラム教徒に最も人気の高い非イスラム国の旅行先といわれる。現在、外国人労働者の受け入れを規制しているシンガポールでは労働力が不足。外資が参入しやすい環境もあいまって、シンガポールの飲食業界は競争が激化している。このような中、事業拡大に本腰を入れ始めたムスリム系F&Bグループ、シンガポール・ホスピタリティー・グループに注目してみたい。
同社は、シンガポールで一番大きいモスクがある観光地で、ムスリム御用達の商業施設内のホテルに出展するハラル認定のインターナショナルレストラン「The Landmark(ランドマーク)」を旗艦店に、レストラン2件、宴会場2件を営む。イムティアス社長によると年間売上高は400~500万シンガポールドル規模だという。
観光政策でMICE誘致に力を入れているシンガポールだが、急拡大するムスリム旅行市場をさらに獲得していく中で、ムスリム対応ができる宴会場の経営は、優位なビジネスになりつつある。
同社は、昨年シンガポールで行われたシーゲーム(2年に1度行われる東南アジア版オリンピック)では、宗教上の理由や栄養管理の観点から各国各選手の細かい要望に対応した食事を提供したとして、政府関係機関から表彰を受けた。
さらに直近では、シンガポールで家族経営の老舗インドネシア料理店「Pariaman(パリアマン)」をM&A。3代目の跡継ぎと共にブランド化に乗り出しているのだ。
同事業者マーケティングマネジャーのハリムさんに聞いてみた。
この商業施設は、シンガポールのシティエリアで、一番大きいモスクに隣接しているので、古くから地元のムスリム教徒に知名度が高い存在だ。ホテルのプールサイドで、ブッフェレストランと宴会場を運営し、観光客、商用客、地元顧客を取り込んでいる。シンガポール人でマレー料理のセレブリティシェフ、インド人のスペシャリティーシェフを雇用し、ハラルやベジタリアン需要に対応している。ほかには、リトルインディア(インド人街)にある大型ホテルに宴会場機能も兼ね備えたインド料理レストラン、シンガポールフライヤー(シンガポールの巨大観覧車)の商業施設に宴会場を経営している。
人口の約2割がマレー系民族のシンガポールでは、ムスリム対応ができるレストランや宴会場は、大企業や組織から重宝される。近隣諸国のムスリム国の政府関連のイベントなども受注している。イスラム教を信仰するマレー系民族の婚礼パーティー利用も多い。特にマレー系民族の結婚式は、多くのゲストを招待するので規模が大きい。
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