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【インドネシア】オンライン配車サービス「Grab」がフードコートをジャカルタにオープン

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ASEAN諸国のオンライン配車サービスの頂点に君臨するのは、シンガポール発のGrabである。

オンラインサービスが確立する以前のタクシー業界は、常に悪評が付きまとった。
メーター制であるにもかかわらず、法外な料金を吹っかけてくる等の話は珍しくない。
また、タクシーなのにカーナビがないから、あまりローカルな目的地だとドライバーが「そこはどこだ?」と聞いてくる始末である。

しかしオンラインサービスはスマホアプリを介した事前会計である。
また、スマホのGPS機能で目的地までの道程を表示してくれる。
ユーザーにとってもドライバーにとっても、この機能は非常にありがたい。

この特徴を活かし、Grabは飲食事業にも進出した。
9月にインドネシアの首都ジャカルタで、Grabは『Kitchen by Grabfood(以下Kitchen)』という名のフードコートを開業したのだ。

しかしなぜ、フードコートなのか?

半径7km圏内へ配達

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日本でも『Uber Eats』等のデリバリーサービスの車両を見かけるようになった。

しかしASEAN諸国では、日本に数歩先んじてこの種のサービスが発展している。
それはインドネシアも例に漏れず、スマートフォンが普及した現在オンラインサービスで食事を注文することは珍しいことではなくなった。
Grabも『GrabFood』というサービスを展開している。

ただし、これには欠点もある。

たとえば、大手ファストフード店のハンバーガーをGrabFoodで注文した場合、大したメニューではないのに長い間待たされるということが時折起こってしまう。
これがパーティー用のオードブルだったらさしたる問題ではないかもしれないが、普段通りのランチだったらどうだろうか?
限りある休憩時間の中、いつまでもランチが届くのを待っているわけにもいかない。

そこでGrabは、予め自前のフードコートを作った。
それが先述のKitchenであるが、最大の特徴はKitchenから半径7km圏内に限りGrabFoodでの配送を可能にしているという点だ。

今の時点でKitchenは西ジャカルタのケドヤ地区に1拠点構えるのみで、要は試験営業の段階である。
しかし、今後Kitchenがジャカルタの各所に拠点を設けたらどうなるか。

利用者がGrabのアプリを通じてKitchenに注文を入れたら、最寄りの拠点から料理が届くという寸法になる。
すると待ち時間の問題が大幅に解消される。
ランチのような、とにかく手っ取り早く済ませたい料理の場合にはKitchenの強みが活きるはずだ。

ローカル飲食店も入居

ケドヤ地区のKitchenには、6つの飲食店が入居している。

その内訳を見てみよう。

・Pondok Sate Pak Heri(ジャカルタ)

・Sop Buntut Ibu Samino(ジャカルタ)

・Calais Bubble Tea(ジャワ、スマトラ、カリマンタン、スラウェシ、マルク、パプア)

・Warung Bhakti(ジャカルタ)

・Warung Anugrah Bawakaraeng(マカッサル)

・Gudeg Yu Djum(ジョグジャカルタ)

()内の都市は、その飲食店の展開先である。
地方都市ゆかりの業者も名を連ねていることに注目していただきたい。
Gudeg Yu Djumはジャワ島中部ジョグジャカルタでは知らぬ者はいないローカルレストランだ。asean181017grab2インドネシアは300にも及ぶ民族が暮らす共和制国家である。
それぞれの都市に郷土料理が存在し、また首都ジャカルタには全国から人が集まる。
アチェ出身者とパプア出身者が同じオフィスで働く光景も見ることができる。

彼らのことを考えれば、中小のローカルレストランがフードコートに入居するということの意味合いを察することができる。
人は誰でも、自分の故郷の味を忘れることができない。
そういう角度から見ると、Kitchen by Grabfoodというサービスはいかにもインドネシアらしい性質のものとも言える。

そしてもうひとつ、Kitchenの各店舗の会計処理には『Moka』が導入されている。

このMokaについては、以前筆者が執筆した。
クラウド会計ソフトとレジ機能を足して2で割ったようなアプリだが、最近MokaはシリーズB投資ラウンドで2400万ドル(約27億円)もの資金調達に成功した。
今伸び盛りのスタートアップと表現してもいいだろう。

オンライン配車サービスと飲食業。
一見、何のつながりもないように思える両者であるが、ASEAN諸国ではオンライン配車サービスが市民の食生活に大変革をもたらそうとしているのだ。

【参考】
Grab
Kitchen By GrabFood-YouTube
Gudeg Yu Djum

 

この記事を書いた人(著者情報)

澤田真一

フリーライター、グラップラー。175センチ88キロ。ASEAN経済、テクノロジー関連情報などを各メディアで執筆。

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