レッドブル事業で得た莫大な資産を背景に、ユーウィッタヤー一族は他の様々な事業にも進出している。
86年には創業者を継いだチャルームが中心となって、王室の保養地があるホアヒンに300エーカーのワイナリー「サイアム·ワイナリー」を開設。
ここでワイン事業を展開している。
従業員は1000人を超え、今ではタイ有数のタイ産ワイン(新緯度帯ワイン)として世界各地に輸出されている。
また、09年にはバンコクにある中堅の私立病院ピヤウェート病院の株式を大量取得。
事実上の直営病院とした(後に撤退)。
スポーツビジネスへの関心も高く、モータースポーツのF1に「レッドブル・レーシングチーム」として参戦。
F1タイ誘致を目指したほか、米ニューヨークのメジャーサッカーリーグ所属「ニューヨーク・レッドブルズ」やオーストリアでは「レッドブル・ザルツブルク」の運営にも携わった。
一方で、12年9月に起こったチャリアオの孫による警察官のひき逃げ死亡事件は、一族の信用を地に落とした。
使用人を身代わり出頭させたことに加え、わずか50万バーツで保釈され、示談金は300万バーツ。
長期勾留もされなかったことから、ソーシャルメディアなどを中心に特権的階級社会に対する批判が急増する原因となった。
事故直後のロイター電も「重要なのは、何を知っているのかではなく、誰を知っているのかだ」と社会に巣くう矛盾を追及するほどだった。
刑事責任が問われないままの孫は現在、旅券が剥奪され、ICPO(国際刑事警察機構)により国際手配されている。
ユーウィッタヤー家をめぐっては、タイ有数の大富豪に導いた創業者チャリアオの死去後、息子のチャルームが後を継いだが、ベトナムやフィリピンなど周辺諸国の市場で登録商標などの知的財産権をめぐってトラブルが相次いでいる。
圧倒的なシェアを誇り、日本食レストランにも多くを納めるレッドブルの製造元。
その行方からは目が離せない。
(写真はグループ内の資料から)
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