ベトナムでは外食とは最も人気のレジャーである。近年、経済発展に伴い映画館やボーリング場、カラオケ、ゲームセンターが増えてきたが、いまだ娯楽が少ないのが実情である。しかしベトナム人は大勢でワイワイ楽しむことが大好きな人たちである。よって仕事上がりに同僚や友達、家族と一緒に、大勢のグループでレストランに出かけてワイワイ食事を楽しむのが彼らのスタイルだ。
ローカル系のレストランで注目は、ビール居酒屋やBBQレストラン、貝をウリにした居酒屋である。人気がある店はどれも大規模。オープンエアーでエアコンもなく、仕切りもなくワンフロアに200人から300人が収容できる店である。ビールの乾杯を繰り返しながら、自分たちが好きな海鮮の焼き物、蒸し物、炒め物などを楽しむ。 また牛肉、豚肉、鶏肉、ヤギ肉などの焼肉を楽しむ。最後に鍋で〆るのがベトナム人の食事スタイルだ。特徴はメニュー数が豊富なことだ。多い人は1人でビールを10本以上飲むほどベトナム人はビールが好きである。客単価は10USD前後である。
外資系チェーンでは、大手ファーストフードの躍進が著しい。最新のデータでは、ケンタッキー・フライドチキン(KFC)、ロッテリアがともに100店舗を超えて展開している。フィリピン資本のジョリービーも20 店舗以上を展開。この3社は1997年前後から進出している。特徴は通常メニューに加え、ベトナム人が好きな米食文化を取り入れたライスセットを導入するなどローカライズの努力をしている点。価格はドリンク付セットで2-3USD。この市場に、さらにバーガーキングやマクドナルドが参入し競争は激化している。
外資系チェーンでは、ハンバーガー業態以外に近年ではピザ業態の人気が上昇している。ピザハット、ドミノピザがそれぞれ20店舗以上を展開している。デリバリーにも積極的に取り組んでいる。さらにカフェの業態でも外資系の進出が増えている。Coffee Bean Cafe (USA)が15店舗を展開している他、 Gloria jean‘s COFFEES (Australia)やStarbucks coffee(USA)が参入済み。ドリンク価格は2.5-3.5USDとローカルカフェに比べると安くないが都会の雰囲気を好むベトナム人客で賑わっている。
日本食店舗は、ホーチミン、ハノイにすでに合計800以上あると言われている。ホーチミンで注目すべきは、寿司業態では、「SUSHI BAR」(1999年進出、8店舗)と「TOKYO Deli」(2007年進出、15店舗)である。どちらも寿司を中心に刺身や天ぷらやうどん、鍋などメニュー豊富な日本食レストランで、客層の50%以上はベトナム人である。ランチは5USD程度から用意されており、ディナーは10-25USDの間で十分楽しめる。この2業態は日本人を主要客にしている和食レストランより低価格で、味はベトナム人好みをよく研究し、店舗内装がキレイで、メニューが豊富な点が特徴である。ともに開業から業態試行錯誤の時期を経て、オペレーションを固め、ブランドを確立し、その後、多店舗展開に移行している点で共通している。
寿司業態以外では、焼肉の「浦江亭」(6店舗)が圧倒的な存在感を発揮している。ベトナム人や韓国人、台湾人、欧米人の支持を集めて賑わっている。繁盛店になればなるほどベトナム人客比率が高く、ウェイティングをよく見かける。メニューはUS牛をウリにしながら和牛メニューや鍋や一品メニューなど豊富に取り揃えている。この浦江亭に追随して参入したのが「牛角」である。現在、4店舗まで展開。どこまでベトナム人客の支持を集められるか、注目である。
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