海外で初めての飲食店経営。
運営の移行は比較的スムーズに行うことができたという井上さんですが、一つだけ苦労したのが現地のスタッフや関係者とのコミュニケーションだったそう。
「日本の会社では管理職に就いていましたが、日本と同じような感覚で仕事を進めるとうまくいかないことが多々ありました。
カンボジアでは、納期厳守や”ほうれんそう(報告・連絡・相談)”といった概念を持たない人が多いので、任せっぱなしにしておくと予定通りに仕事が完了しないことが頻繁にありましたね。
苦い経験を踏まえ、現在では細かすぎるくらいに進捗を確認するようになりました」
日本では人事の仕事もしていたという井上さん。
スタッフの新規採用については、まずは誰でも受け入れ、一定期間働いてもらう中で成長を見守るスタンスであるといいます。
スタッフのモチベーションを維持するための秘訣についても語ってくださいました。
「成果に応じて定期的に昇給やボーナス付与をする仕組みもそうですが、それ以上に愛を持って接することが大事だと思っています。
愛情を向けていれば自ずとスタッフとの会話が増えますし、結果としてミスや”抜け””漏れ”を防ぐことができるのではないかと思いますので」
さらに、スタッフを信用し、勤務歴が浅いうちからメニュー開発や会計といった重要な役割を任せるようにしているそう。
任せてもらえることが充実感を生み出すだけでなく、スキルアップと自信につながり、モチベーションが向上するのでしょう。
「真家」を引き継いでから1年。
さまざまなマイナーチェンジの結果、順調にお客様が増えており、売上も好調だという井上さん。
満席の日も多いため、運営体制が追いつかないといううれしい悲鳴も上がっています。
「せっかくご来店いただいても、お席が足りないという状況が出てきてしまいまして。
もう少しお店の規模を拡大すべく、40名ほどの団体様にもご利用いただけるような個室を2階に増設したいと考えています」
40名対応の個室を持つプノンペンの日系レストランは、これまでほとんど見られませんでした。
そんな中で増設されるお部屋は、忘年会、新年会、会社の親睦会、同郷の日本人で集まる「県人会」などのイベント開催地として重宝されそうです。
さらに、2階奥のスペースを使い、深夜2時頃まで営業するスナックもオープン予定だそう。
「現在は23時閉店なのですが、飲み足りないというお客様もいらっしゃいます。深夜まで営業している日系飲食店はあまり多くないので、皆さん行き場を失ってしまうようなのです。
1階で食事を楽しんでいただいた後、引き続きしっぽりと飲んでいただける場をご提供したいと考えています」
現在最大で約40名収容可能なお店は、80名収容可能なスペースを持ち、スナックを併設するお店へと一気に拡大する予定。
「お客様からいただくご要望を大事にしつつ、できるだけ周囲のお店がやっていないことをやっていきたいと思っています」
と語る井上さんの挑戦はまだまだ続きます。
慣れない異国で働く日本人の方たちにとって、おいしい和食をいただく時間はホッとできるひとときでもあります。
扉を開けると迎えてくれる、温かい料理と笑顔の女将さん。
日本にいるような気分にさせてくれる、懐かしい味と空間。
まるで我が家のようなお店には、今日も多くの会社員の方々が“帰宅”していきます。
これから座席増設も予定され、ますます多くの方々に開かれていく「真家」から目が離せません。
■真家
住所#38A, Street288, Boeng keng kong, Phnom Penh
電話:077 720 026
営業時間: ランチ 11:30~15:00(L.O.14:30)、ディナー 18:00~23:00(L.O.22:30)
定休日:なし
※臨時休業日程はFacebookページなどで都度告知
Facebook:https://www.facebook.com/shinya.japanese.dining/
※1アメリカドル=約108円で計算
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