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【ベトナム】全メニュー日替わりの食材にこだわった人気イタリアン「El Peck」

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ベトナム中部の中心都市、ダナン市。
市内の中心通りTran Phu(チャンフー)通りに、ローカルや在住者に人気のイタリアン「El Peck(エル・ペック)」があります。
こじんまりとした店内は居心地のいい雰囲気で、オープンキッチンがすてきな造りです。

毎日替わるメニューも楽しみの1つ。
ワインもお手頃なので、デートやちょっとした集まりにと、さまざまなシチュエーションで利用されています。
今回はオーナーのAlessio Rasomさんにお話を伺いました。





記者:ベトナム進出までの簡単な経歴を教えてください。
Alessio氏:私は北部イタリアの山岳地帯の小さな村で育ちました。
父がパン屋を経営しており、12歳から学校が休みのときはお店を手伝うように。
16歳の時に進学した調理専門学校では、さまざまな有名シェフに会う機会があり、18歳から私も料理人を志して働くようになりました。
その後、「Trussardi Alla scala(トラサルディ・アッラ・スカラ※1)」、 「Mirazur(ミラズール※2)」、「Le Bristol(ル・ブリストル※3)」 を経て、25歳の時にフランス・パリのミシュラン一つ星レストラン「Ze Kitchen Galerie(ザ・キッチン・ギャラリー)」のシェフになりました。

(※1)イタリア・ミラノにあるミシュラン二つ星レストラン

(※2)フランス南部、イタリアと国境を接する街・マントンのミシュラン三つ星レストラン。イタリアの炭酸入りナチュラルミネラルウォーターブランド「サンペレグリノ」主催の世界のベストレストラン2019年版で1位を獲得

(※3)フランス・パリのミシュラン三つ星レストラン。5つ星以上のパラスクラスホテル「ル・ブリストル」内にあり、現「EPICURE(エピキュール)」

記者:順調に料理人としてステップアップされたのですね。
Alessio氏:インターンシップや研修などで日本を含め、さまざまな国に行く機会があったのも、私のキャリア形成に役立ってくれました。各国でのインターンシップや研修の中でも、京都の高橋拓児氏が主人を務める「京料理 木乃婦」での経験は忘れられません。

京都、木乃婦での研修にて。中央、和帽子をかぶっていない3人の内、左側がAlessioさん

記者:日本にも行かれていたのですね?
Alessio氏:はい。
初めて高橋さんにお会いしたのは、私が勤めていたフランスのレストランだったのですが、彼が研修に来たのがきっかけでした。
彼は帰国する際に、「プレゼントではなく、また会う約束」として素晴らしい包丁を私に託してくれました。
約束通り、私が日本に研修に行くことで再会しました。
彼が私を研修に招待してくれたのです。
彼から託された包丁を携えて、木乃婦へ研修に行きました。
日本独自の創意工夫、風合い、味わい、様式、おもてなしの文化……、たくさんのことを学びましたが、特に「学び」になったのは“自分は何も知らなかった”と言うことですね。
身に付けた知識や技術にあぐらをかかず、常に料理への探究心や情熱を持ち続けていくべきだと思いました。
木乃婦で食事をさせていただいたのですが、今まで訪れたレストランの中で最も素晴らしい体験ができました。
店内の雰囲気や静けさ、そして美しく繊細でおいしい料理は忘れられない体験です。

記者:ベトナム進出のきっかけを伺えますか?
Alessio氏:10年以上前にペルーを旅行していた時、現在の妻に出会いました。
彼女はハノイ生まれ、フランス育ちのベトナム人で、私も彼女も当時パリで働いていました。
付き合って4年目、2014年9月にパリからベトナムまで二人で自転車で行くことに。
ベトナムまでは1万8000km、16ヶ月掛けて向かいました。
実際に訪れてみて、家族で暮らすにはベトナムが一番だと感じ、移住することに決めました。
特にダナンは、自然が豊かで、地元の人が親切なので家族向けの土地だと思います。
私自身、毎日娘をビーチに連れて行けるので、とてもいい環境だと感じています。
ダナン移住後は5つ星ホテル内のレストランで副料理長をしていました。

フランスからベトナムへの自転車旅の様子

記者:なぜレストランを始めたのですか?
Alessio氏:自分の料理を探究・表現できるお店を持つことは私の長年の夢だったからです。
店名の「El Peck(エル・ペック)」は私の実家のパン屋と同じ名前で、家族の絆を表しています。
2020年の7月にファストイタリアンのコンセプトでオープンしたのですが、直後に新型コロナの影響でダナン市が2回目のロックダウン(7月28日から約1ヶ月半)を実施しました。
台風が多くて気温も例年より低い寒冬ということもあり、その期間はデリバリーや医療従事者の方々への食品寄付を他のレストランと協力して行っていました。
そして2021年1月に現在の形態でリニューアルオープンしました。

医療従事者への食品寄付を準備するAlessioさん

記者:立地はどのように選びましたか?
Alessio氏:「El Peck」の面すTran Phu通りはダナン市内でも、特に賑わっているエリアで、ちょうど私が想定する大きさの物件があったのでここに決めました。

記者:営業時間を教えてください。
Alessio氏:16:30~22:00、月曜定休です。

筆者のお気に入りはグラタン。濃厚なホワイトソースがおいしく、量もちょうどいい

記者:どのようなお客様がいらっしゃいますか?
Alessio氏:ほとんどがダナン在住の方です。
40%がベトナム人、60%は在住外国人(ヨーロッパ、日本の方が特に多い)です。

この記事を書いた人(著者情報)

寺内真実

1年ホーチミン、8年以上ダナン在住。
中央大学卒業後は金融系(FP2級)、医療系の会社に勤務。
「暑い国に住みたい」と勢いで渡越し、現地の日系旅行会社を経て、現在は現地サービス業とライター業をしている。
写真は生後1週間で保護した愛猫“大福”と。
著書▼
「癒しのビーチと古都散歩ダナン&ホイアンへ」イカロス出版
※電子版はこちら
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