「国王は仏教徒でなければならない」と憲法で定めるタイで、さまざまな仏教行事は事実上の国民行事となっている。
僧侶が安吾(仏教上の修行)に入るカオパンサーや安吾を終えるオークパンサーなどではアルコールを断って仏陀や祖先に祈りを捧げる習慣が今なおあり、酒の販売が法律で禁止されている。
ただ、一方で観光を貴重な収入源としてきたタイにあって、外国人を主な対象に曖昧な運用が例外を生むなど禁酒日(酒の販売が禁じられている日)であっても店を選べば飲酒は可能というのが、これまでの実態だった。
こんなところも「タイらしさ」があるとされた。
ところが、2014年5月の軍事クーデター以降、軍政は違法風俗の摘発や路上の屋台の撤去、時間外営業をしている飲食店への立ち入りなど取り締まりを強化している。
アルコールも例外ではなく、禁酒日に酒の販売をした飲食店の摘発を強力に進めている。
かつては「袖の下」で通用していたアンダーテーブルマネーの習慣も一切なくなった。
これに勢いを得たのがタイの反アルコールグループだった。
日本に比べ国民的な余暇の少ないタイで、安価なアルコールの摂取は束の間の楽しみ。
反面、それは依存症の患者も多く生んでいる。
未成年の中毒者も社会問題となっている。
低迷する消費の起爆剤にとセブンイレブンとファミリーマートが打ち出した今回の奇策だったが、タイミングと場所がマッチをしなかった。
軍政の〝本気度〟を読み違えた。
タイ最大の大手財閥さえも見誤る商売の難しさ。
他山の石の好例となるのであろうか。
(写真は上から順に、CPの試験販売中止の告知、事件を伝えるBangkok Postの記事、同Nationの記事)
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