ベトナム中部の高原地域にある町、バンメトートはコーヒーやコショウの産地として世界でも有名です。
そのバンメトートで自社直営農場を構え、提携農業従事者や企業とともに安全な農作物の生産、生産管理と輸出、特産品の開発、農業人材育成を行っている日系企業があります。
通称FUVと言われる「Farmers Union Venture(ファーマーズ・ユニオン・ベンチャー)」です。
今回はFUVのゼネラルマネージャー、髙埜太之(たかのもとゆき)さんにお話を伺いました。
記者:ベトナム進出以前は何をされていたのですか?
髙埜氏:10代の頃は海外をあちこち回り、20代前半は東京でNPO団体を立ち上げて活動を行っていました。
学生のノリで始めたことと、先に社会人になった仲間と目標がかみ合わなくなりはじめ、次第に劣等感を抱くようになったことから、自分もきちんと社会に出ようと就職しました。
その後は、文具メーカーの企画・営業と、人材育成の会社に勤めてサラリーマンをしながら、さまざまな国に行っていました。
ベトナムへは2011年の年末に来たので、今年で渡越して10年目になります。
記者:海外旅行でベトナムに興味を持って移住したということですか?
髙埜氏:いいえ。
日本よりも海外の方がチャンスが多いと思ったからです。
2011年に東日本大震災が起きた時、周りの友人は積極的にボランティアや寄付などをしていましたが、私は仕事しかしていませんでした。
熱さがない人間になってしまったと感じ、29歳からは、さまざまなボランティア活動に参加するように。
その中で仕事上手な人や、やる気ある人たちに出会いましたが、年齢や学歴など、自分の力が及ばないところでタイミングを逃すと活躍することが難しい日本の現状を知ったのです。
彼らをスカウトして、一緒に海外で何か始めてみようと思いました。
記者:それがベトナム進出のきっかけですか?
髙埜氏:そうですね。
早速スカウトして集めた10人の仲間と、研修事業でASEAN諸国を回りました。
その中でベトナムが一番肌に合い、現地日系社長などにも良くしてもらったので、この地で活動しようという話になったのです。
記者:ベトナムでの活動地や内容は、すぐに決まったのでしょうか?
髙埜氏:初めはベトナム中南部の高原地帯にあるダラットで、ベトナムで大人気の日系イタリアン「Pizza 4P’s」の農業プロジェクトを行っていました。
ハーブやトマトの栽培をしていましたが、農業は土・環境・気候によって方法が変わるので、日本の書籍やデータは通用しないことを痛感しました。
勢いとノリでは無理で、どんな土壌がいいか、井戸の掘り方など、農業に対して総合的な先生が必要と感じました。
記者:先生は、すぐに見つかったのでしょうか?
髙埜氏:有機農業が得意な方がバンメトートにいるということを聞き、すぐに訪れました。
それが、FUVの社長だったのです。
社長に有機農業について教えてもらえるよう、バンメトートに移住もしたのですが、当時のFUVは赤字経営……。
経営不振から農業を学ぶどころではありませんでした。
事業を立て直すために、商品開発・コスト計算・販促・販売・顧客サポートなど、根本から見直しました。
サラリーマン時代の経験が役に立ったシーンでしたね。
入社2年目からは会社も徐々に回復し、現在は農場と特産品の開発に集中できています。
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