2022年8月に大きなニュースが飛び込んできました。
2001年9月の米同時多発テロ事件を首謀した国際テロ組織アルカイダの現指導者アイマン・ザワヒリ容疑者が、アフガニスタンの首都カブールで7月31日に米軍によるドローン攻撃によって殺害されました。
アルカイダとは、これまでも世界でテロを実施してきたイスラム過激派です。
その後、米国務省は8月2日、海外にある米国関連施設への報復的なテロ攻撃の恐れがあるとして、警戒情報を発信しました。
今後の動向が懸念されるところです。
殺害現場はアフガニスタンということから、ASEAN地域はこの問題とは対岸の火事のように思われます。
しかし、それはまったくの間違いです。
アルカイダはアフガニスタンで活動していますが、それを支持するテロ組織は歴史的に、そして今日もASEANに存在するのです。
例えば、2021年9月中旬、在タイ日本大使館は「タイにおけるテロ攻撃に関する脅威情報」というアラートを発出し、礼拝場など人が多く集まる場所における自爆攻撃が発生する可能性が高まっているとして、現地に滞在する日本人に注意を呼びかけました。
情報源や組織的背景などは明らかにしませんでしたが、2021年8月31日、米軍部隊がアフガニスタンから完全撤退し、アルカイダを長年かくまってきたイスラム原理主義組織タリバンが実権を握ったことで、再びテロ活動が活発化するとの懸念が広がり、それを受けてのアラートである可能性が高いです。
そしてその後、在タイ日本大使館は、欧米などの関連施設、レストラン、ホテル、公共交通機関、市場、観光施設など不特定多数が集まる場所、軍、警察、治安関連施設をはじめとする政府施設、モスク、教会、寺院といった宗教関係施設を避けるよう促しました。
同様のメールはマレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、ミャンマー各国にある日本大使館も一斉に発信しました。
今回の出来事は指導者の殺害ということで、アルカイダにとっては象徴的な人物を失ったことになります。
それに対する報復を計画するテロ組織、支持者らが何らかの行動を起こすリスクは排除できません。
例えば、インドネシアでは歴史的にアルカイダと関係があるイスラム過激派「ジェマーイスラミア(JI)」が今でも活動しています。
ジェマーイスラミアは、202人が犠牲となったバリ島・ディスコ爆破テロ(2002年10月、日本人も2人犠牲になった)、ジャカルタ・オーストラリア大使館爆破テロ(2004年9月)やジャカルタ・JWマリオットホテル爆破テロ(2009年7月)など、過去に欧米権益を狙ったテロを繰り返してきました。
その後、組織は弱体化しましたが、近年組織の再生を図っています。
幸いにも、現時点で差し迫ったテロの脅威がASEANにあるわけではありません。
しかし、タイやフィリピン、マレーシアなどにもイスラム過激派が存在しますので、今後は米国大使館などに近付かない、いても長居しないなどの配慮は必要です。
特に、インドネシアはタイやフィリピン、マレーシアよりも注意してください。
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