インドネシアの配車サービス『Go-Jek』や『Grab』は、既にフードデリバリー事業も行っている。
お気に入りのレストランのメニューを自宅やオフィスで楽しめるこのサービスは、短期間でインドネシア市民に受け入れられた。
だがGo-JekにしろGrabにしろ、フードデリバリーはあくまでも多角化戦略の中のひとつである。
それとは別に、飲食関係の配達を専門に行っている企業もインドネシアには存在する。
この記事では『Wakuliner』というサービスを紹介したい。
Wakulinerは去年立ち上げられた、フード専門マーケットプレイスである。
いや、その表現はあまり正しくないかもしれない。
いささか、ややこしい表現ではあるが、飲食業全般をカバーする商取引プラットフォーム、と言うべきか。
昼食時のデリバリーサービスはGo-JekやGrabも行っているもので、特に目新しい事業ではない。
だが、数十人単位の昼食を注文するとなると話は別だ。
Wakulinerは、このような大型注文に対応しているのが特徴である。
最低100人分からの弁当配達もラインナップに並んでいる。
また、ビュッフェやパーティー料理といったケータリング分野のメニューも取り揃えている。これらは今現在のインドネシアにおいて、爆発的な需要が見込まれている分野だ。
2019年、インドネシアでは国政議会選挙と大統領選挙が予定されている。
この国の選挙活動は、良い言い方をすれば「パーティーのような」雰囲気がある。
各陣営が支援者集会を催すのだが、その際に昼食が無料で振る舞われるのが常だ。
他党支持者に対しても「とりあえず参加してくれ」と嘆願し、会場に連れ出す。
そこで食事の大盤振る舞いをするというわけだ。
もちろん、最初から食事目当てで集会に参加する者もいる。
日本で同じことをやれば公職選挙法違反になってしまう可能性があるが、ともかくこれがインドネシアの選挙活動である。
そしてその恩恵を得るのは、飲食業者だ。
さらに突き詰めて考えると、2019年の選挙は現地でAndroidスマートフォンが急速普及してから初めて迎える政治イベントでもある。
前回のインドネシア大統領選挙は2014年。
その頃と今とでは、スマホの普及度合いも性能もまったく違う。
スマホアプリもそれを運営する企業も格段に増えた。
この「大統領選挙とスマホ」に関する記事はまた別に書きたいと思うが、いずれにせよオンラインケータリングサービスは来年の選挙をきっかけに大躍進する可能性がある。
話をWakulinerに戻そう。
このWakulinerは、同一プラットフォームで各飲食店舗のフランチャイズ契約仲介も行う。
たとえば下の画像は現地喫茶チェーン店『Rocket Coffee』のフランチャイズ契約ページだが、店舗の広さ毎に初期投資額がプランニングされている。費用があり、飲食店舗のオーナーになる意欲もあれば、ブラウザやスマホアプリからでもフランチャイズに加盟することができるのだ。
Wakulinerにはそういう側面もあるから、もはや単に「フードデリバリー事業」とは言えない。
飲食業に関連するあらゆる取引を仲介する、極めて斬新なプラットフォームである。
【参考】
Wakuliner
Apa itu Wakuliner? – Mau Pesan Makanan Seluruh Nusantara? Wakuliner Aja!-YouTube
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