一方、これまでのところ、日本権益への大きな被害は報告されていません。
筆者も仕事の関係で現地滞在者と何回かやりとりをしましたが、「外務省や現地大使館が発信する注意喚起を十分に守っていれば怖いことはないが、今後治安が悪化し何かしらの混乱に巻き込まれないかを危惧している」と言っていました。
実際、今回のクーデター発生直後に日本人ジャーナリストが暴行を受けたとみられ、2007年9月には日本人カメラマンが軍事政権に対する市民デモの取材中に撃たれて死亡する事件も発生しています。
企業関係者からは現地の治安への懸念だけでなく、バイデン政権が国軍関連企業への制裁発動を決定したように、今後経営的な影響が出てくることを不安視する声が高まっています。
ビールの大手キリンホールディングスは、国軍系企業「ミャンマー・エコノミック・ホールディングス」との合弁を解消すると発表しましたが、今後現地に展開する他の日系企業も同様の措置を取る可能性があり、ミャンマーでの展開計画にも影響が出てくる恐れがあります。
また、日本政府は長年、国軍とも関係を維持してきたことから、現在は強く非難していませんが、アメリカなど欧米諸国は国軍系企業を含め、圧力を強化する方針です。
そうなればアメリカなどから共同歩調を取るよう、日本も迫られるかも知れません。
現在のところ、アメリカによる経済制裁は日常生活に大きな影響が出るレベルではありませんが、国軍の対応によっては、アメリカは第2、第3の制裁を発動する姿勢を崩していません。
正に政治リスクによって経済が大きな影響を受ける可能性があり、今後の動向をより注視していく必要があります。
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