インドネシアの飲食業界は、「ランチ」が最も大きな可能性を秘めているのかもしれない。
日毎に内容が変化する夕食と違い、昼食はあまり変動性がない。
それ故に市場としてのランチは、ディナーよりも盤石な基盤の上にあるとも表現できる。
それに加え、インドネシアでは「ランチのオンライン化」が進んでいる。
オフィスにいながら、好きなレストランのメニューを注文できるシステムが整備されているのだ。
近年では配車サービス『Go-Jek』や『Grab』が飲食デリバリーサービスで頭角を現しているが、何もこの両者が市場を一手にしているというわけでもない。
今回は日本企業も資本参加している『Klik-Eat』をご紹介しよう。
このKlik-Eatの運営企業であるPT Klik Eat Indonesiaは、2018年9月までは夢の街創造委員会株式会社の連結子会社だった。
夢の街創造委員会株式会社は、PT Klik Eat Indonesiaの全株式の75.5%を所有していた。
それを8%分だけ残し、あとの67.5%をPT Klik Eat Indonesiaの代表取締役に譲渡したのだ。
Klik-Eatは、インドネシアのオンライン飲食デリバリー市場では「老舗」と呼ぶべきかもしれない。
少なくとも、Go-Jekが一介のスタートアップに過ぎなかった頃からその存在感を発揮していた。
それはPCで公式サイトを覗いてみれば、おおよそ想像がつく。
あくまでも筆者の勝手な印象で恐縮だが、Klik-Eatのプラットフォームの第一印象は「とにかく見やすい」ということだ。
まるでその店のメニュー表をそのまま差し出されたかのような、と表現すれば適切か。
試しに「Masakan Jepang&Sushi」の項目をクリック。
すると真っ先に出てくるのは、定食チェーン『大戸屋』のロゴ。
日本人にとってはこれだけでも感動してしまうが、それを抑えつつ「Order Now」をさらにクリック。すると出てくるのは、大戸屋で扱っているメニューの一覧表である。そのメニューの簡単な内容から値段まで、一目で確認できるような形で記載されている。
店の営業時間やチェーン店舗の所在、さらには提供メニューがハラルかハラムかも同一ページ内でチェックできる構成だ。
インドネシアはイスラム教徒が多数派の国であることを忘れてはいけない。
豚やアルコールを材料に使っていれば、それはもちろんハラムである。
イスラム教徒に向けたメニューではないということだ。
また、自分が今いる場所の最寄りの店を検索できるという利点もKlik-Eatは有している。
ジャカルタは慢性的な渋滞が社会問題になっていて、それが原因で配達が遅れてしまうこともある。
だからこそ、できるだけ近所のレストランを利用せざるを得ないという事情が発生するのだ。
Klik-Eatは、ある意味でインドネシアのオンライン飲食デリバリーの「基本形」と言えるサービスである。
見やすいメニュー表、店舗の所在位置で区分けしたカテゴリー、ハラルかハラムかの表示。
なお、Klik-EatはAndroidとiOS両方のアプリを配信している。
現代のインドネシアでは、スマホアプリの配信はもはや必須事項だ。
こうしたデリバリーサービスは今後、ジャワ島都市部のみならず地方にも広がる可能性がある。
インドネシア全体の人口は2億6千万人だ。
市場としてこれほど大きなキャパシティーを有している国は、決して多くはない。
スマホや電子マネーの普及と相成り、「ランチのオンライン配達」はこれからも裾野を広げていくだろう。
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