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【知らないと損するタイ進出情報】タイの財閥研究 ランド・アンド・ハウス・グループ

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タイ東北地方(イサン)の玄関口ナコーンラーチャシーマー県(コラート)の中心部にある目ぬき通り。
ここに投資総額約60億バーツを投じて2016年末に完成したのが、ランド・アンド・ハウス・グループが進めた大型商業施設「ターミナル21コラート店」だ。
バンコクにある「アソーク店」に続く2店舗目。
200店以上の有名ブランドを誘致し、延床面積20万平方メートルはアソーク店の3倍となった。
19年にはパタヤ店も開業させる計画で、破竹の快進撃を続ける。
財閥研究の今回は、新興財閥のランド・アンド・ハウス・グループ(L&Hグループ)を取り上げる。

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ターミナル21のほか四ツ星高級ホテル「グランド・センター・ポイント」の開発・運営で知られるL&Hグループだが、1983年のグループ設立時は個人向け住宅の開発・販売を事業としていた。
グループの創業者アサワポーキン家の初代ブンソンは1915年に中国広東省の生まれで、のちにタイに渡った。
当初は高級輸入布の販売で財を蓄え、1960年代を境に住宅建設業に転じた。

当時はベトナム戦争が激化を始めた時代で、後方基地として重要性が増していたタイでは、軍人や軍属のみならず、拡大する米国人向けのアパート需要が急増していた。
これに目を付け始めたのが住宅供給事業だった。

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事業が軌道に乗ると、一族は利幅のより大きい開発型の不動産事業に軸足を移していった。
この時に設立されたのがL&Hグループである。
その翌々年には次男のアナンが学業を終えてタイに帰国。
グループ発展の転機となった。

アナンが取り入れた新しい住宅供給事業はそれまでとは大きく異なっていた。
当時まだタイにはなかったモデルハウスを設置するという新しい営業形態を取り入れ、個人住宅を求める中間層の購買意欲をくすぐった。
著名な建築家による斬新なデザインを取り入れるなどして、ブランド感の向上にも努めた。

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こうして消費者のニーズを掴んだグループは、高級住宅街プロジェクト開発を事業の柱としていく。
90年代になると海外進出も果たしたほか、住宅金融事業も手がけるようになった。

ところが、97年の通貨危機はグループにも深刻な傷跡を与えた。
事業は大きく足踏みをし、前年の黒字から一転して65億バーツという赤字へと転落した。
海外の不採算合弁事業からは軒並み撤退。
新規事業も凍結させて債務処理に当たった。

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シンガポール政府投資公社から出資を取り付け、株式の約20%を放出したのはそれから間もなくのこと。
全ての債務処理が終わったのは2000年ごろのことだった。

こうした中で新たな事業として取り組んだのが、バンコク・アソークに出店したターミナル21の開発である。
従来にない斬新な高級ホテルとの複合施設は消費者の心をつかみ、近年の成功事例の一つに挙げられている。

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中でも関心を集めているのが、2014年に完了したアソーク店の証券化だ。
RIETはタイ証券市場に上場され、これまでプロジェクト・ファイナンスに頼りきりだった資金調達方法を一変させた。
この手法を確立したことで、L&Hグループは新たな発展の礎を築いたといってもいいだろう。

グループは今後、従来からの不動産開発型事業を基礎としながらも、ターミナル21事業とグランド・センター・ポイントのホテル事業といった新規事業も拡張する計画でいる。
ターミナル21についてはパタヤのほかコンケンやプーケット、南部ナコーンシータマラートでも計画を進めており、ホテル事業の地方展開も目指す方針だ。
新興財閥の今後が期待されている。
(敬称略。写真はグループHPなどから。連載続く)

この記事を書いた人(著者情報)

kobori

2011年11月、タイ・バンコクに意を決して単身渡った元新聞記者。東京新聞(中日新聞東京本社)、テレビ朝日で社会部に所属。警視庁記者クラブで2・4課担当を通算4年経験。銀行破綻などの各種金融事件、阪神大震災、オウム真理教事件などの取材にも当たった。事件記者出身だが、取材対象は政治・経済、社会、科学、文化までなんでも。日本の新聞、雑誌、タイのフリーペーパーやウェブサイトなどでも執筆中。著述、講演多数。

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