日系のレストランが多いリンラン通りに6月に新しくできた「鶴屋」。
他の食事場とは何か違う雰囲気に、ついつい何度も足を運んでしまう。
お店は通りに面して看板に大きく日本語で「鶴屋」と書いてあり、ガラスの引き戸から中の様子がうかがえるので一見さんでも気軽に入りやすい。
一階はカウンターと5~6名が座れるテーブル席。
二階はテーブル席と個室という構成の店内は、ハノイでは少し小ぶりの部類に入る大きさ。
メニューは普通の定食メニューなのだが、ここ「鶴屋」の特徴は接客にある。
お店のご主人と接客を束ねるママさんの他、3名~4名のベトナム人スタッフはとても気さくで頃合いを見て話かけてきてくれる。
「どこに住んでますか?」
「名前は何ですか?」
「いつハノイに来ましたか?」などなど
しかし、よくよく考えてみるとこのちょっと積極的な接客は、いわゆる定食&お酒を提供する居食屋・定食屋という形態ではとても珍しい。
カラオケやバーのようなお店であればお店の女の子からガンガンに話かけられるのは当たり前なのだが、いやいやここは定食屋。
通常、居酒屋&定食屋の接客は席の案内や注文・配膳・お会計だけで完結する機械的な接客に終始しがちなところを「鶴屋」の接客はなるほど、比較すると一風変わっている。
実は「鶴屋」のスタッフは日本語を勉強している学生を積極的に採用しているという。
レベル的には日本語検定N3前後くらいだと思うが、ちょっとたどたどしい日本語を使って一生懸命話かけようとする姿勢になんだか微笑ましい気持ちになっていき、しまいには簡単な日本語を教えたり、逆にベトナム語を教えてもらったりと、食事の合間に自然と会話が弾んでいく。
ハノイで働く日本人は単身赴任で来ている人や独身などいわゆる独り身が多い。
それにともない独身男性を癒やすバーやカラオケも多数あるのだが、さすがに毎日は行っていられず、とはいえ家で自炊するのも面倒。
ローカルフードも長期滞在になればなるほど飽きてくるので、そのニーズに応えるため、たいていの日系居酒屋にはカウンターがあり、お一人様向けに日本食の夜定食を提供している。
だが、得てしてこういった居酒屋は少し機械的な接客で、一人カウンターで座っている人間は食事を終えたらすぐ帰らなくてはいけないような感じになってしまい、ハノイの長い夜を持て余してしまうことが多々あるのだ。
そういったニーズを知ってか知らずか、ちょこっと積極的な接客の「鶴屋」に軽く会話ができる居食屋として何度も足を運ぶ常連客が多いのではないだろうか。
さて、この店は日本人とベトナム人の夫婦が経営している。
いつも笑顔でトークもうまい奥さんは、日本で数年働いた経験があり日本語は流暢。
板前経験ありの旦那さんはまじめな気質、一歩下がって調理場をしきっている様子がうかがえる。
そんな性格が現れているのか、料理はもちろんどれを食べてもとっても美味しいし、キンキンに冷えているグラスに注がれるビールは疲れを癒やす。
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