タイでの日本産牛肉の輸入解禁以降、多数のサプライヤーが取り扱いを開始、バンコクのレストランでよくWAGYUの文字の入ったメニューや看板を見かけるようになった。
そんな中、2013年に日本産牛肉の輸出、卸売、レストラン事業を目的として日本からタイに進出したミート・コンパニオン・グループのタイ現地法人の福島孝義ダイレクターにインタビューを実施した。
ミート・コンパニオン・グループ
Meat-Companion International Co.,Ltd.
Samurai Food Services.,Ltd.
ダイレクター 福島孝義氏
記者:ミート・コンパニオン・グループについて教えてください。
福島氏:株式会社ミート・コンパニオン(阿部昌史代表 東京都立川市)は昭和49年に東京都新宿区箪笥町にて食肉卸問屋として創業し、ファミリーレストラン、ハンバーガーチェーン、牛丼チェーン、焼肉チェーンなどの成長によるニーズに応える形で、食肉卸だけでなく、食肉加工品の製造販売、冷凍食品、レトルト食品、惣菜の製造と業務内容を拡大し、現在ではグループで年商330億円となっています。
記者:タイ進出のきっかけは?
福島氏:2012年5月にバンコクで開催された ASEANで最大級を誇るタイ国際展示会(THAIFEX)に和牛など日本産牛肉の輸出を目的にブースを出展したことがきっかけでした。
2009年にタイで日本産牛肉の輸入解禁が決定しましたが、2011年の東日本大震災の影響を受けて実質1年間ストップし、いよいよタイへの輸出が本格化するという中での開催とあって、弊社のブースにはローカルサプライヤーが次から次へと商談に訪れてくれました。
このチャンスを逃してはならないと翌年2月に和牛の輸入販売を目的にMeat-Companion International Co.,Ltd.を設立しました。
当初は、 展示会から一番熱心にアプローチをかけてくれたローカルサプライヤーの社長の熱意に押される形で独占契約を締結しましたが、その後なかなか思うようにはいかず伸び悩み一年で円満に契約を解消、2014年11月にタイでの卸売とレストラン経営を目的にSamurai Food Services.,Ltd.を設立して独自で卸売を開始、同時に和牛専門レストラン「WAGYU SAMURAI」をバンコク・エカマイにオープンしました。
記者:業績はいかがですか?
福島氏:卸売については1年がかりで軌道に乗せることが出来ました。
現在、お客様の85%が日本人経営のレストラン、15%がタイ人経営のレストランとなっています。
タイ人経営のレストランへの卸売は伸び悩んでいますが、理由の一つとしてこんなこともありました。
タイローカルの高級店に営業に行った時のこと、交渉相手のタイ人ヘッドシェフから和牛の産地を問われて◯◯産と応えると
「そんな高くて知らないブランド牛はいらない。うちはオーストラリア産のMATSUSAKAしか使わないんだから!」
と出直してこいと言わんばかりの答えが帰ってきました(笑)
またあるローカルの鉄板焼き専門店では、その専門店で売りにしている▲▲牛と納品伝票に書いてくれるなら扱ってもいいよと言われましたが丁重にお断りしました。
日本産牛肉が解禁されて5年弱、レストランのメニューで有名ブランド牛の文字をよく見かけるようになりましたが、和牛ブームの一方で、無法地帯になっているようなところがあり、タイ国内で和牛に対する正しい理解とその浸透までにはもう少し時間がかかりそうです。
記者:和牛専門レストランWAGYU SAMURAIについてはいかがでしょうか?
福島氏:WAGYU SAMURAIの物件を探した2012年、2013年という時期は日本食レストランの進出がピークに達していた時で、同時にバブル経済のような賑わいを見せており、日本からだけではなく世界中からレストランがバンコクに進出をしている時でした。
トンローやプロンポンといったバンコク都心部の物件を探していましたが家賃も高騰しており坪20,000〜30,000円と東京並み。
そんな中で、エカマイで一軒家で広い庭園と駐車場のある今の物件が見つかり契約しました。
庭園に椅子とテーブルを置いて食事ができるように 計画をしていたのですが、契約後、大家さんから庭園は一切触ってはいけないなどとオープンに至るまでに色々な問題が浮上しました。
どうにかオープンしましたが来店客ゼロという日もあるなど認知されるまでしばらく時間がかかりました。
2年が経過し認知度も高まり今では売上は目標通りに推移しています。
昨年10月に国王が崩御され、10月11月は厳しく、12月も自粛ムードで企業の忘年会や宴会予約が入らないといった状況でしたが、一般のタイ人のお客様が大幅に増えて、結果、過去最高の月間売上で一年を締めくくることができました。
記者:どんなお客様が多いですか?
福島氏:お客様の比率ではタイ人のお客様が60%、日本人そのほか外国人のお客様が40%となっています。
タイ人のお客様の中には日本へ旅行して初めて本物の和牛を召し上がって、和牛の本当の美味しさを理解されたことでお起こしいただけるお客様が多く、一度来たら次は新しい友達やご家族をお連れになっていただけるなど、リピーター比率が高く手応えを感じています。
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