インドネシアの実体経済を支えているのは、まさに星の数ほど存在する零細規模の店舗である。
このメディアでも、インドネシアの「ワルン」について取り上げたことがある。
これは雑貨屋+飲食店÷2のような個人経営の店舗と言うべきもので、インドネシア市民にとっては生活に欠かせないハブステーションでもある。
そんなワルンも、スマートフォンやタブレットの普及とともに進化している。
クラウド会計ソフトというものがある。
日々の収益と経費を記録し、確定申告の時にそれをデータ化するというシステムは事業者にとっては必要不可欠だ。
もちろんそのデータは、運営者のサーバーに保存され別の端末からもそれを閲覧することができる。
日本では当然のように普及しているものであるが、インドネシアではそれを利用している個人事業主はまだ少ない。
PCを所有していない事業者も多いため、収益の計算はすべて紙と電卓で行うのが一般的だ。
また、大衆食堂レベルの飲食店はレジというものを置いていない場合が殆どである。
日本人の目から見れば、彼らの手による勘定は恐ろしくアバウトに見えるだろう。
そこで、こんなサービスが近年普及しつつある。
クラウド会計アプリ『Moka』だ。
これは、あらゆる業態の中小事業者に向けたサービスである。
Mokaは一言で言えば、「レジ機能のあるクラウド会計アプリ」だ。
Mokaではそれぞれの店舗に合わせたカスタマイズが可能である。
店も違えば、もちろん扱う商品も違う。
それらを登録し、値段や在庫もアプリで管理する。
飲食店、小売店はもちろん、サロンや床屋といったサービス業にも対応する。
運営店舗が複数ある場合も、それらの収益を個々に算出する。
カスタマー登録機能もあり、予約販売にもMokaの機能が活かされる。
また、このアプリを通じてクレジットカード決済を導入することもできる。
こうしたサービスが、インドネシアでは日毎に広がりを見せている。
その背景には、インドネシア政府が全国の事業主に対して確定申告の徹底を呼びかけているということがあるようだ。
だが最大の要因は、スマートフォンやタブレットの爆発的普及である。
インドネシアでは、もはやスマホは生活インフラである。
現状出回っているスマホは、どんな低性能機種でもRAM1GB・ROM8GBだ。
日本人の目から見れば明らかに物足りない数字だが、逆にこれだけあればMokaのようなアプリを作動させることは可能である。
値段も決して高くはない。
米ドルで100ドルもあれば釣りが返ってくるほどだ。
零細店舗の事業主にとっては、わざわざレジを購入するよりも遥かに割のいい買い物である。
このような理由で、インドネシアでは事業者向けアプリとそれを取り扱うスタートアップが急増している。
【参考・動画】
Moka
Kopi, Ritel, dan Komunitas dalam Satu Ekosistem – Cyclo Coffee & Apparel-YouTube
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