ホーム >  インドネシア > インドネシア市民の消費の中心地「ワルン」とは?

インドネシア市民の消費の中心地「ワルン」とは?

LINEで送る
Pocket

asean170818warung1

インドネシアは「ワルンの国」である。

ワルンとは、平たく言えば喫茶店+雑貨屋+食料品店÷3のような個人経営の店舗。
アメリカのテレビドラマ『大草原の小さな家』に出てくるオルソンさんの雑貨屋、というたとえはかなり古いか。
『あしたのジョー』の林屋などは、それに近いかもしれない。
要はどの町にも必ずひとつは存在する「地域密着型の商店」だ。

ワルンを語らずして、インドネシアの個人消費は語れない。

どんな地域にも存在する

東ヌサ・トゥンガラ州フローレス島は、決して豊かとはいえない地域である。
インフラ整備も遅れている。

山がちの地形の中で直線道路を敷くには、まずトンネルを作らなければならない。
だが、フローレス島にはそこまでの予算は下りないらしい。
トンネルというものが全くない。
だから車道は急カーブの連続だ。
都市から都市へ行くのに、日光のいろは坂のような道路を何時間も進む。

だがそんな道の只中にも、サービスエリアのような場所がある。
もっとも、「サービスエリア」と呼べるような立派なものではないが。
多少の駐車スペースと、数件のワルンがポツリとあるだけだ。

しかし、ドライバーやバスの乗客にとってはそれがありがたい。
ワルンには必要なものが一通り揃っている。
食べ物、飲み物、雑貨、そして薬品まで。

首都ジャカルタの街角にも、ワルンはもちろん存在する。
労働者にとってのティータイムは、すなわちワルンでの井戸端会議だ。
店の前の長椅子に腰掛け、お茶をすすりながら仲間と談笑する。
インドネシア人にとって、ワルンは生活インフラそのものなのだ。

月収300ドルの感覚

asean170818warung3

ここで注目すべきは、「お茶をすすりながら仲間と談笑する」という一文である。

この場合の「お茶」とは、市販のティーパックかインスタントコーヒーである。
ワルンの店主は、それをひとつひとつ客に販売するのだ。
「そんなの当たり前じゃないか」と思われるかもしれないが、突き詰めて考えればこれは「バラ売り」である。
そう、この国では1個数単位のバラ売りが消費の主流形態なのだ。

飲み物だけでなく、たとえば赤ちゃんのためのオムツもバラ売りする。
1枚入りパックというものがワルンに置かれている。
日本ではまず見かけない売り方だ。

必要なときに必要な分を買う。
それがインドネシア人の基本的な考え方である。
いわゆる「大人買い」という発想は、あまり見受けられない。

もちろんアッパーミドルクラス以上の富裕層はまた別だが、インドネシア国民の大多数はワーキングクラスに属する。
彼らに紅茶やオムツを余分に買うほどの可処分所得はない。
ちなみにジャカルタ特別州の最低法定賃金は、まだ月300米ドルに達していない。

インドネシアの飲食・小売市場を観察するためには、「月収300ドルの感覚」を理解することが大前提だ。

労働者の拠り所として

asean170818warung2

都市部のワルンの前に、タバコメーカーから派遣されたコンパニオンが立っていることがある。

彼女たちはワルンにやって来る客全員に声をかける。
インドネシアの現大統領は嫌煙家だが、それでも国民の喫煙人口は非常に高い。
そしてタバコは現実問題、個人消費の仕組みを観察する上で絶好の材料である。

昔のマルボロのCMを思い出していただきたい。
荒野の中でカウボーイがコーヒーをすすりながら、仕事の合間に一服する。
そのシーンはアメリカでは「模範的労働者の姿」と見なされていた。
インドネシアでは今でもそうだ。
労働者がタバコを吸うのは当然である、という考えである。

だがインドネシアの労働者とアメリカのカウボーイが違うのは、一服する場所だ。
ワルンに行けばタバコの他にも、庶民の日常生活に必要なものが揃っている。
活力をつけたければコーヒーを飲み、小腹が減ったらインスタント麺を食べる。
彼女とのデートを控えていたら、外野に冷やかされつつ店で整髪料を買う。

インドネシア人とワルンは、切っても切り離せない関係なのだ。

LINEで送る
Pocket

海外展開にご興味ある方は
なんでもお気軽にご連絡ください。
> 24時間受付OK> 24時間受付OK

メインメニュー

教えてASEANコラム

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ
WEBでのお問い合わせ

フォローはこちら

人気記事ランキング

新着記事

国別で記事を探す

おすすめキーワードで記事を探す

ライター紹介