現在もなお、世界中に大きな影を落としている新型コロナウイルスのパンデミック。
フィリピンは2020年3月12日にロックダウン(Community Quarantine。以下、CQ)を発表し、段階的に緩和されてはいますが、現在もCQを継続中です。
CQが施行された日からスーパーマーケット、コンビニ、薬局、ライフライン関連以外の店舗や会社は全て閉鎖し、外出は厳しく規制され、街から人影が消えました。
現在も(2021年1月時点)外出には年齢制限があり、一部の人は外出を許可されていません。
パンデミックはフィリピンの人々の生活を一変させてしまいました。
CQ施行後、間もなくして飲食店はテイクアウトとデリバリーによる営業が許可されました。
そこで急成長したのが Grab Food などのデリバリーサービス。
外出規制の中、需要は急激にアップし、パンデミックで失業した人たちが仕事を求めてドライバーに転職、飛躍的にサービスの質が向上しました。
しかし、大方の飲食店はテイクアウトや宅配では利益を出せず、静かに姿を消していきました。
2020年4月26日、フィリピンの著名なネイリスト「ミミ」さんが、6枚の写真と2本の動画をインスタグラムに投稿しました。
出典 : Mimi Qiu Reyes
「ミミのオリジナルベイクドカリフォルニアロール」と名付けられた、今まで見たことのない「SUSHI」です。
アルミトレイに日本米、ふりかけ、日本のマヨネーズをベースとして、カニフレークやとびっ子などの具材を混ぜ合わせたソースを重ね、オーブンで焼き上げた SUSHI BAKE(焼き寿司)。
そして、それをスプーンですくい、韓国海苔で巻いて食べるというスタイルは、大きな注目を集めフィリピンの新しい「SUSHI」ブームの火付け役となっていきました。
なぜ、彼女が新しい「SUSHI」をインスタグラムにアップしたかというと、ロックダウンにより、顧客と接しなければならないネイリストの仕事が完全に行き詰まったからです。
彼女には5年前から温めてきた「SUSHI」ビジネスのコンセプトがあり、それを試すには、今が絶好のタイミングだと考えたのです。
彼女が好機と捉えた理由は下記です。
・食料品の流通は止まっていないので、ビジネスをスタートするのは問題ない
・店内飲食が許されない状況は、少資本で始められるデリバリーフードにとって好都合
・アルミトレイに詰められた「SUSHI」は、デリバリーフードにぴったり
アルミトレイに入ったSUSHIは完全に新業態なので、ライバルはいませんでした。
唯一の懸念は、目に見えないウイルスによって誰もが食品に対して疑心暗鬼になっていたことです。
特に、生の食材を使うイメージの強い「SUSHI」は敬遠されがちなメニューです。
しかし、彼女の「SUSHI」のふたには、一言注意書きが添えられていました。
「お召し上がり前に、100度のオーブンで10分間焼き上げてください」
「SUSHI」を焼くアイディアは最初からだったのか、それともウイルス対策による苦肉の策だったのかは分かりませんが、この一言が消費者の安心感につながったのはではないかと思えてなりません。
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