高級中華食材である燕の巣ビジネスがミャンマーで盛り上がりを見せている。
2018年4月6日付けの地元紙「ミャンマー・タイムズ」は、2017年から2018年にかけて燕の巣がもたらした税収が9億6460万チャット(約7,900万円)に達したと報じている。
燕の巣の生産はミャンマー南部のタニンダーリ地方が中心だが、この額は同地方の年間税収の約半分にあたる。
燕の巣は東南アジアに棲息するアマツバメが、自身の唾液腺の出す分泌液で固めて作る。
収穫してゴミやほこりを取り除いたものは高級食材としてスープやデザートに利用し、精力増強、美肌、免疫力向上などの効果があると信じられている。
フカヒレや干しアワビと並ぶ3大高級食材として世界で珍重され、取引額は高額だ。
日本のショッピングサイトを見ると、品質によって価格は異なるが100gで3万円を越える商品も少なくない。
ヤンゴンではFacebookの販売店ページを利用すれば最も安く買えるが、それでも小売価格は約160g(ミャンマーの伝統的な重量単位)で32万チャット(約2万6,000円)からとなっている。
ミャンマーで燕の巣の多くを生産しているタニンダーリ地方の行政上の中心都市はダウェーだが、商業の中心は港町ベイッだ。
ベイッには燕の巣の生産・販売を行う会社が70社近くあるという。
ミャンマーを含め、東南アジア各地にある燕の巣の産地では、かつて燕が海岸沿いの断崖に作った巣を人がよじ登って収穫していた。
しかし、近年は鉄筋コンクリートのビルを断崖と誤認させて営巣させる「養殖」が増えてきている。
ベイッ周辺の島でも数年前までは自然にまかせて収穫していたところがほとんどだったが、現在は近くの島はもちろん、市内にも養殖場が増えてきている。
養殖場といっても窓を1ヶ所だけ開けた一見普通の家屋で、中に燕を引き寄せるヘルツ数の音を発する音響装置を設置しているだけだ。
ベイッで見学させてもらったまだ新しい養殖場のビルは、燕には何の意味も持たないベランダが各階にあり、これもまた必要ない大きな窓を壁の四方に備えていた。
養殖場用に建物を建てても燕が巣を作るかどうかはやってみなければわからない。
燕が来なかった時、人間用の住宅に転用して賃貸できるように造ったのだという。
このビルの場合、無事に燕がやってきたため、ひとつを残して全ての窓をふさぎ養殖場として使っている。
新築マンションを貸すより、燕の巣を養殖した方が儲かるということなのだろう。
メインメニュー
教えてASEANコラム
お問い合わせ
人気記事ランキング
新着記事
国別で記事を探す
おすすめキーワードで記事を探す
ライター紹介