ー 北海道・旭川発祥と言われる、豚骨・鶏ガラから抽出した「動物系スープ」に、煮干しや昆布から摂れる「魚介系」のうま味を加えた「Wスープ」と、相性抜群の特注中細ちぢれ麺を合わせたラーメンが大人気の「梅光軒」。井上社長が飲食業界に参入されたきっかけとは?
アメリカの文化に興味があり、地元・旭川市の高校を卒業後、アメリカのネバダ州にある語学学校に留学しました。5年半ほど海外で過ごす中で、「日本人のアイデンティティーは何か」と考えるように。日本の文化や日本人など、さまざまなことに考えを巡らせました。ずっと日本に居たら、そのような考えを持つことはなかったと思います。私の場合は、結果、日本食に行きつきました。日本食で世界に進出したいと考え、今度はどのような料理にするかを模索する日々に。アメリカでの日本食に注視するようになったところ、ラーメンは店頭に連日長蛇の列ができるほど人気があり、資産価値が高いことに気付きました。父がラーメン店を経営していたこともあり、幼少期から身近だった「ラーメン」で世界に挑戦することに。帰国後すぐに、父に弟子入りしました。
ー 海外に身を置いたことで、改めて日本の良さが見えてきたのですね。
そうですね。「日本の食文化はもっと注目されてしかるべきものだ」と気付かされました。父のもとで修業を始めて10年ほどが経過した2006年9月、とある百貨店の催事に出店したことがきっかけで、シンガポール進出のチャンスが訪れ同年渡星しました。
ー 初めての出店を見据えた海外視察は、いかがでしたか?
「バブル期の日本がそこにある」と感じましたね。街は非常に活気づいていて、人々は買い物を楽しんでいました。元々シンガポールでは、食事は常に外食というのが一般的ですが、高級レストランから屋台フードまで、ほとんどの飲食店で人があふれているほどでした。経済成長が著しく、国自体が発展していると感じ、海外出店への想いがさらに高まりました。
ー 実際に進出されてみていかがでしたか?
2007年4月15日にシンガポールに初進出したのですが、約半年は1日20食ほどしか売れない日々で赤字が続きました。撤退も視野に入れていた頃、現地テレビ局のディレクターが来店され、日本のラーメンを解説する番組で当店を紹介したいという話をいただきました。その番組の放映がきっかけで、売上はいきなり20倍の400食に。運が良かったと思います。
ー シンガポールを皮切りに、次々に海外出店をされています。
上述したシンガポール店が順調に売上を伸ばしていったことから、他国での挑戦を視野に入れるようになりました。初の海外店舗は更新の際に家賃が倍になったため残念ながら撤退しましたが、3年後の2010年にはシンガポールの日系百貨店、2012年には香港と台湾、2016年にはベトナム、2017年にはハワイ、2018年にはタイ、2019年は弊社初のフランチャイズで中国に出店をしています。
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