6月末、インドネシアの日系社会に大きな動揺が走った。
それは、セブンイレブンの一斉閉店という出来事がきっかけだ。
セブンイレブンというコンビニエンスストアは、もともとは米資本だった。
だが経営破綻の際に日本からの資本を受け入れ、それ以降は「帰化日本人」として歩み出す。
近年、セブンイレブンは攻めの姿勢でASEAN各国に進出を遂げていた。
そのうちのひとつとして、インドネシアでの動向は日本の財界にも大いに注目されていたのだ。
そのセブンイレブンが、残らず空き店舗になってしまったのである。
じつは、セブンイレブンに限らずインドネシアに進出した日系コンビニは総じて苦戦を強いられている。
その理由をひとことで言えば、「直接参入できないから」だ。
インドネシアでは、400平米以下の小規模販売店に対する外資参入は禁止されている。
地場産業の保護のためである。
この国には数え切れないほどの個人商店があり、それに品物を提供する問屋が存在する。
どんな辺鄙な村に行っても、必ず「ワルン」と呼ばれる店が立っている。
『あしたのジョー』という漫画を知らない人は、あまりいないだろう。
主人公の矢吹丈は、その日暮らしの労働者が集まるドヤ街を拠点にプロボクシングで活躍する。
その中で丈は、ジムメイトのマンモス西とともに「林屋」という小さな食料品店で働いていた。
ワルンのイメージは、その林屋に近い。
どんな貧しい地域にも、地元住民に頼られる個人商店が存在するということだ。
インドネシア政府としては、「林屋」を潰してしまうわけにはいかないのである。
漫画の内容をもう少し語ると、林屋はマンモス西が懸命に働いたおかげで少しずつ店を大きくすることができた。
作中を通して何台か新車を買っていたほどだ。
これはまさに理想的な経済成長の姿であり、その機会を外資によって潰されたくないという思いが中央政府にはある。
そういうビジョンをベースにすると、優先順位は個人商店>地場系コンビニ>外資系コンビニということになる。
現にインドネシアのコンビニ業界は、地場系『アルファマート』と『インドマレット』が二巨頭を形成している。
だが、それがセブンイレブンにとっての重しとなったことは間違いない。
日本からインドネシアの店舗を直接リモートコントロールすることができず、結局はブランドを提供している現地パートナーを介しての経営となってしまったようだ。
それでも、セブンイレブンは健闘した。
「小売販売店」ではなく「レストラン」としての営業許可を申請したり、主婦向けのIT教室を開いたりもした。
若者からの支持もあった。
この国の若年層は、日系飲食店に対して好印象を抱いている。
しかし、その奮闘が実ることは遂になかった。
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