皆さんは「医療ツーリズム」や「メディカルトラベル」をご存知でしょうか?
「医療ツーリズム」「メディカルトラベル」とは、医療サービスを目的または一部に組み入れた海外旅行を指します。
日本ではインバウンドを受け入れる方が多く、日本人にはまだなじみが薄いですが、現在世界各国では自国よりも良い医療サービスを求めて海外へ旅行する方が増えています。
アメリカの調査会社「グランドビューリサーチ」によると、2018年の「医療ツーリズム」「メディカルトラベル」の世界市場はUSD36.9 billionで、日本円では約4兆円規模になります。
今回はマレーシアを拠点に医療ツーリズムのオンラインブッキングサイトを運営する「TRAMBELLIR Sdn Bhd(トランベリア)」の日本人ファウンダー飯塚さんにお話を伺いました。
記者:マレーシア進出までの簡単な経歴を教えてください。
私どもは、さまざまなバックグラウンドを持つ日本人とマレーシア人によって立ち上げたITスタートアップ企業です。
創業者二人はマレーシア在住で、この二人の企画を基にマレーシアで創業し、時間の経過と共にメンバーが増え、現在は日本在住日本人3人、マレーシア在住日本人3人と、マレーシア人4人の計10人体制で事業を行っております。
日本人メンバーはオンライン旅行会社出身者、事業オーナー、、内科医師、大手サブコン出身者などで構成されています。
弊社のビジネスは医療ツーリズムに特化したオンラインブッキングプラットフォームで、ホテル予約サイトのブッキングドットコムやアゴダ、アクティビティ予約サイトのクルックなどと同じブッキングプラットフォームですが、取り扱い内容が医療・美容を専門としており、世界中の提携医療機関が提供する施術メニューを渡航前に予約できます。
記者:なぜマレーシアで事業を始めようと思いましたか?
もともとマレーシア在住者が創業したということと、マレーシアはITビジネスを国家としてバックアップする体制に力を入れており、IT企業のベースとして他国より優位性を感じたからです。
他にも、優秀なIT人材が比較的低い賃金で確保できる点や、ASEAN諸国の中でも発展と未発展のバランスが良く、高いレベルのサービスを低価格で確保できる点も理由として挙げられます。
エアアジアなどのLCC網が発達しており、安価で近隣諸国への移動が可能なため、われわれが目指す、医療ツーリズムをもっと気軽で簡単なモノにしたいというビジョンに合致する地域性というのも理由の一つですね。
記者:進出前に準備したことは何ですか?
すでにマレーシアで他の事業を展開していたのと、マレーシアでの就業経験があったため、特段今回のプロジェクトに際して準備したことはありません。
記者:なぜ、医療ツーリズムに特化したオンラインブッキングの事業を始めようと思ったのですか?
医療ツーリズムに着目した経緯としては、すでに4兆円規模となり、2025年には18兆円になると言われている世界の医療ツーリズム市場の巨大さが挙げられます。
小さな医療ツーリズム紹介代理店が、自国へ海外旅行者を誘致するビジネスを運営しているか、その逆に一つの国の人々を数ヶ国の提携医療機関に送客をしている現状を知ったことです。
また、旅行者・患者が、多国間の医療施術を比較して予約する仕組みができあがっていないことに不便を感じているだろうと思い、それを解決するのが社会にとって有意義と考えたからでもあります。
創業メンバーは海外での駐在や事業経験を持つ者がほとんどで、 異国で医療を受ける際の問題を当事者として感じていたため、医療ツーリズムに着目いたしました。
記者:どのようなお客様がいらっしゃいますか?
現在は立ち上げフェーズで、予約件数はさほど多くありませんが、お客様の人種は多岐にわたります。
現段階では東京、イスタンブール(トルコ)、クアラルンプール、バンコク、バリ島の医療機関で受けられるメニューを扱っているのですが、やはり各地の周辺国から利用されるお客様が多いです。
例えば、東京へのお客様はASEAN地域から、イスタンブールへのお客様は北欧地域から、クアラルンプール・バンコク・バリ島へのお客様はASEAN内から予約をいただいております。
記者:どのプランが人気ですか?
クアラルンプール・バリ島・バンコクなどのカジュアルな美容医療が人気です。
ASEANでのスパやマッサージは日本人にも広く受け入れられ、旅先での人気アクティビティーの一つになっておりますが、日本よりも安価な上、ラグジュアリーな空間でトリートメントを受けられる美容皮膚科のプランなどがございます。
お顔のシミ取りや、美白レーザー、美容点滴など、低価格で短時間で施術が終了するため人気です。
現在旅行者がスパやエステ、マッサージを選択するように、今後5年、10年をかけて、医療・美容トリートメントも海外の旅先で気軽に選択する世界を作っていくために、われわれは事業を行っております。
記者:マレーシアで事業を行う上で、苦労したこと、大変なことはありますか?
マレーシアだから苦労したということはありません。
ビジネスの立ち上げはどの国でもいろいろありますし、もともと海外経験の豊富な人間が運営しておりますので、ボーダーレスな感覚で事業を行っております。
むしろ、われわれは外国人としてマレーシアを拠点にビジネスを展開させてもらう立場ですので、その点には留意しています。
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